【ロサンゼルス2日】カリフォルニア州では2025年、数多くの新しい法案が施行された。ニューサム知事が署名したこれらの法案には、小売犯罪や財産窃盗の取り締まり強化、ホームレス問題への対処、消費者保護の拡大などといった内容の法案が含まれる。ここでは、カリフォルニア州で注目すべき新法と、それが州民に与える影響などについて紹介する。
小売犯罪と器物盗難の取り締まり強化
カリフォルニア州では、ニューサム知事が昨年8月に署名した、州内の小売店での窃盗や器物損壊犯罪を取り締まるための法案12本近くが施行された。これらの新法には、小売店や財物窃盗の有罪判決に対する厳罰化、小売店や車両窃盗の容疑者の逮捕・起訴を容易にする措置、カリフォルニア州ハイウェイ・パトロール局の組織的小売店犯罪対策チームの常設化、企業に損害を与えた窃盗犯に対する新たな罰則の導入、盗品をオンラインで販売・交換する者の取り締まりなどが含まれる。
学校における性別通知方針の禁止
「SAFETY法(Support Academic Futures and Educators for Today’s Youth Act)」に基づき、子どもが新しい代名詞を使用したり、性自認や性表現を変更した場合、学区が保護者に通知することを禁じる。
ネイティブ・アメリカンに関する公立学校のカリキュラム更新
カリフォルニア州教育局は、小中高生を対象に歴史または社会科でネイティブ・アメリカンの虐待と貢献についてのトピックを学習内容に含む場合、部族との面談を義務付けるカリキュラム更新を行った。
公立図書館の禁書禁止
「カリフォルニア州自由法(Assembly Bill 1825)」は、州から資金援助を受けている公共図書館が、人種、国籍、宗教、性自認、性的指向、障害、政治的所属に基づいて本を禁止することを禁じる。図書館はまた、著者やその本の読者層に基づいて本を禁止することもできない。
ホームレス問題に対処し、住宅事業を拡大
認可住宅の設置を妨害したり遅らせたりする地方自治体を取り締まることを目的とした「上院法案1037」。違反者には月5万ドルまでの罰金を科すことができ、それによってできた資金は地方自治体が認可住宅を阻止したり遅らせたりした地域の手頃な価格の住宅支援に充てられる。
「議会法案2835」は、各都市がホテルやモーテルの空きスペースを利用して、地域のホームレス保護施設のベッド数を補うことを認める内容。
「議会法案3039」は、低所得世帯や超低所得世帯を含む住宅需要に対応するための計画を策定しなければならない市や郡の規則を更新する内容。
「議会法案3057」は、「Junior Accessory Dwelling Units」の開発をより容易にすることを目的とする。一般的に「グラニー」または「インロー」ユニットとして知られるこの法律は、州内のいくつかのコミュニティーが住宅の選択肢を増やそうと努力している中で制定された。
新たな労働者保護
2021年に制定された「上院法案639号」は、精神または身体に障害を持つ従業員を標準最低賃金以下で雇用することを許可していた産業に対して、その許可に時限を設けるものであった。1月1日付で同法は全面施行され、これらの許可は段階的に廃止される。
「上院法案1105」は農場労働者に対し、特定の天候が労働に危険を及ぼす場合、病気休暇を取ることができるとした内容。煙、暑さ、洪水による地域緊急事態宣言が発令された場合、雇用主が農業労働者の病欠申請を拒否することを禁止する。
「上院法案988」は、フリーランサーに対し、250ドル以上の仕事であれば、書面による契約とタイムリーな支払いを保証する内容。雇用する側は契約書を少なくとも4年間保管しなければならない。
「上院法案1100」では、運転が必要な仕事でない限り、雇用主が応募者に運転免許証の提示を要求できなくなった。
「上院法案1089」では、食料品店や薬局に対し、5人以上の従業員を雇用している場合、45日前に書面にて従業員や地域社会に閉店を通知しなければならなくなった。従業員が5人未満の店舗については、閉店の30日前までに書面で通知しなければならない。
医療負債による信用情報への影響を防ぐ
カリフォルニア州では現在、ほとんどの医療費が消費者の信用スコアに影響することを禁止している。9月に可決され、ニューサム知事が署名した「上院法案1061」は、信用調査機関が未払いの医療費を消費者信用情報に記載することを禁じている。美容整形のための借金は含まれない。さらに、カリフォルニア州では今年後半から、医療負債が発生する契約書には、これらの新条項を説明する文言を含めることが義務付けられる。
自賠責保険額の引き上げ
「上院法案1107」により、カリフォルニア州のドライバーの自賠責保険の最低補償額は、1人の対人傷害または死亡に対して$30,000、全員の対人傷害または死亡に対して$60,000、対物損害に対して$15,000に引き上げられる。これまでの最低額は、それぞれ15,000ドル、30,000ドル、5,000ドルだった。
歩行者とサイクリストの通行料を撤廃
「議会法案2669号」は、2025年1月1日以降に橋が建設中でない限り、州が所有する橋で歩行者と自転車利用者に通行料を課すことを禁止する。通行料からの資金は建設費に充てられる。
横断歩道付近の駐車防止
通称「デイライト法」(議会法案413)は、標識のあるなしに関わらず横断歩道から20フィート以内での駐車を禁止する。この法案では、管轄区域は1月1日以前は違反者に警告が発せられたが、早ければ3月1日には、違反したドライバーに65ドルの罰金と、州が定めた12.50ドルの管理手数料が課される可能性がある。