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内田友来
Yuki Uchida
カイロプラクティックドクター/スノーボード・ハーフパイプ日本代表チームトレーナー
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ロサンゼルスでカイロプラクティック医院を運営するドクターであり、全日本スキー連盟所属・スノーボード・ハーフパイプ日本代表のトレーナーである内田友来さん。先日もスノーボード・ハーフパイプW杯の遠征から戻ったばかりだ。今季のW杯では、北京冬季五輪金メダルの平野歩夢が第2戦で男子1位、第4戦で2020/21シーズン世界選手権覇者戸塚優斗が1位、平野流佳と小野光希が個人総合優勝を果たすだけでなく、シリーズ全戦で日本勢が表彰台に立つ偉業を遂げた。「担当した選手全員が表彰台に上りました。世界の舞台で最高の瞬間をチーム皆で分かち合えるなんて、こんなにも嬉しいことはないです!」
ダイナミックなジャンプや高難易度トリックなどのパフォーマンスを競うスノーボード・ハーフパイプ。「捻挫や骨折、脳しんとうは日常茶飯事の過酷なスポーツ。私たちトレーナーは練習中も撮影をしたり、すぐに救護できるよう雪の上でサポート。宿舎に戻ると治療やコンディションの調整を行います。選手たちが試合で怪我もなく力を最大限に発揮できるよう、フィジカルとメンタル全ての面で万全の状態を作るのが私たちの役目です」
遠征が終わり、LAに戻ると自身のクリニックで治療に当たる。「腰痛など身体の痛みや不調など様々な症状を持つ患者さん一人ひとりに対応します。クリニックで培った経験や知識を、プロスポーツの世界でも生かす。ドクターもトレーナーも『人を治す』仕事なのは同じです」
愛媛県出身、祖父も父も叔父も薬剤師だったが医療に興味はなかった。「学生時代はバブル全盛期。なりたかったのは女性の憧れ、丸の内のOLでした。その考えが変わったのは明治大学スキー部に所属してから。競技で大怪我に泣かされたことで、怪我や痛みで悩む人たちを治したいと思うようになりました」。渡米し医療を専門的に学んだ。オリンピック選手のトレーナーになる夢を抱いたが、生計を立てるのは難しい。確実に医療の世界で働ける道を模索した。その後カイロプラクティックと出会い、専門大学を修了して2001年にクリニックを開業。結婚して子育てやクリニックの運営に追われていた。「家庭もクリニックもあるから遠征に関わるのは無理。でも諦められないと悩んでいたら、ある患者さんが宇宙飛行士を目ざして必死に勉強していることを知りました。普段の仕事もしながら夢に向かって努力する人がいるのに、私は日々の生活に追われて何の努力もしていないじゃないかと。それがきっかけでスポーツドクターの資格を取り、たまたま同時期、知人を介してスノーボード日本代表チームの選手のケアを依頼されたんです。失うものはないので2018年のシーズンからスノーボード・ハーフパイプの世界に飛び込みました」
次なる目標は、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピック。選手たちが無事に五輪出場を果たすべく着実にサポートすることが最大の使命だと語る。
(2/27/2024)
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