アメリカ101 第73回
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ここ数週間、一連のニュースに接して、「住めば都」ということわざを実感していました。というのも、このところ風が強い日があるものの、カレンダーでは2月でありながら、概して温暖な日々が続き、春の訪れさえ感じさせる日々で、依然として新型コロナウイルス禍への警戒心が必要なものの、穏やかな気候が最大の魅力である南カリフォルニアで「LALALA」気分を満喫していたからです。一方では、仕事の関係もあって、州個人所得税がなく、物価が低く、住宅環境も良好、温暖なテキサス州へ移り住んだ旧LA市民の方々が、記録的な寒波襲来で停電、断水といった厳しい日々を強いられたことを側聞すると、日中は半そで、短パンで過ごす有難味を改めて感じさせられたわけです。
ところがそんな中で、このほど、「住めば都ロサンゼルス」に水を浴びせるような「アメリカで自然災害危険度が最高なのはロサンゼルス郡」というニュースが伝えられました。あらゆる種類の災害危機に対処する連邦政府機関FEMA(連邦緊急事態管理庁、フィーマ)が、一般市民だけではなく、災害対策に携わる連邦・州レベルの政府機関に対して、危機管理の重要性を喚起するために昨年10月現在の各種統計を網羅して初めて作成した「全米リスク指数」(national risk index)で特記している、「ロサンゼルスが最大のリスクを抱えた地域である」という“お墨付き”のタイトルです。全米で3千以上を数える郡のすべてについて、
①雪崩②沿岸洪水③寒波④干ばつ⑤地震⑥ひょう⑦熱波⑧ハリケーン⑨氷雨暴風⑩地滑り⑪落雷⑫河川洪水⑬強風⑭トルネード⑮津波⑯火山活動⑰山火事⑱冬季気候
といった18項目の自然災害(natural hazard)を選定。それに対する各コミュニティーでのぜい弱性(susceptibility)を精査した情報を基礎に、それぞれのコミュニティーでの人口の多寡や密度、ビルや住宅といった不動産の形態、復興能力といった、自然災害に伴う影響の地域差を勘案して、それを数値化したもので、ロサンゼルス郡は指数が100で、トップとなったというわけです。
例えば、局地的に甚大な被害や犠牲者を出すトルネードは、オクラホマ州やカンザス州で多発することで知られています。アメリカ児童文学の最高傑作のひとつで、ジュディ・ガーランド主演の名作映画「オズの魔法使」(The wizard of Oz)(1939年)の原作TであるThe Wonderful Wizard of Ozの主人公ドロシーが住むのはカンザス州で、トルネードの旋風で愛犬トトと共に魔法の国オズに迷い込むというのが筋書きです。しかしFEMAの評価では、、両州では、すべての郡が危険度が100以下であるのに対して、ニューヨーク市のふたつの区域、フィラデルフィア、セントルイス、ハドソン(ニュージャージー州)がトルネード被害の大きさではトップ5となっています。回数ではなく、一旦襲来すれば被害が甚大というのが理由のようです。
FEMAでは、自然災害でのダメージを「自然災害リスク指数」(NRI)として数量化、危険度の高さに応じてトップの「極めて高い」から「極めて低い」まで5段階に分類、全米地図を色分けしています。それを眺めると、フロリダ州南部一帯が広域で危険地帯となっているほかは、ニューヨーク市一帯(マンハッタン、ブロンクス、クイーンズなど)やダラス、シカゴ、デトロイトなどの限られた大都市部が危険地域として目立っています。それに比べると、ロサンゼルス一帯ではロサンゼルス、リバーサイド、サンバーナディーノ3郡が最危険区域で、加えてサンフランシスコからメキシコ国境まで広範な地域が、それに準じるリスク度の高い郡という全米では傑出した自然災害危険地帯であることがわかります。「地震、雷、火事親父」ならぬ、「地震、山火事、津波、干ばつ、熱波」といった「自然災害のデパート」の様相を示すカリフォルニア州に居住、「住めば都」の良さを享受するには、それ相応の覚悟と防災対策を忘れていけないという教訓を改めて学ぶ必要がありそうです。
著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)
通称:セイブン
1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。
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