アメリカ101 第88回
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エー!ホンマでっか!というのが、このリストを最初に目にした際の最初の反応でした。新型コロナウイルス禍にあった昨年から今年にかけての「世界でもっとも住みやすい都市」番付けの2位に大阪、5位に東京が選ばれたという報道です。世界のベストなニュース週刊誌との評価もあるイギリスのザ・エコノミスト誌の情報部門ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が毎年発表するリストの2021年版が6月9日に発表されたのですが、調査対象の140都市のトップはニュージーランドのオークランドで、日本の二大都市がロンドンやパリといったヨーロッパの主要都市だけでなく、この種のリストでは常に上位にあるスイスのチューリヒやジュネーブを抑えたという“快挙”です。そして“超大国”アメリカの都市では、トップ10にはゼロで、辛うじてホノルルが過去半年でコロナ関係の規制大幅緩和が評価されて大幅に躍進、14位といったところで、「住みやすい」という基準ではアメリカが世界的には中流レベルにとどまっており、ロサンゼルスもその範疇にあるようです。
「住みやすい都市」といった調査は、メディアで引用されることの多いEIUに加えて、さまざまな指標・統計類を客観的に比較・集計したいくつかの組織・団体が定期的に発表しています。採用する基準や比重などが異なるため、ランキングはまちまちです。EIUの場合、インフラ、教育、ヘルスケア、治安などが指標ですが、公衆衛生を重視しているようで、最新版では、コロナ対策での成否がランキングに大きく影響しています。この結果、コロナ禍封じ込めに失敗したヨーロッパの主要都市が軒並みランキングが急落、前回トップだったオーストリアの首都ウィーンが12位に転落、わずかにチューリヒ(7位)、ジュネーブ(8位)に入っただけとなりました。
一方感染防止で確実に成果をあげたオーストラリアとニュージーランドの合計6都市がランク入りしました。大阪と東京が2、5位に躍進したのもコロナ対策が効果的だったことが評価されたようですが、日本からの報道では、全体的な印象としては政府の対策が後手後手に回って、安倍、菅両政権とも厳しい批判を浴びてきたと思いますが、EIUの独自の基準では「よくやった」ということなのでしょう。ここ数年のEIU調査をみると、2015年から2017年までの3年間では日本の都市はトップ10リストに入っていなかったのですが、2018年に大阪(3位)、東京(7位)がランクインして以来毎回上位に入っています。他の「住みやすい都市」調査をみると、ライフスタイル高級誌モノクルの2019年版(25都市リスト)では、東京がトップのチューリヒに次いで2位で、京都(17位)と福岡(22位)がランクインしています。アジアでは香港(16位)、シンガポール(25位)がリストアップされているほかはヨーロッパとカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの都市だけで、アメリカの都市はランク外です。これが金融サービス・コンサルタント企業のマーサーの「各都市の生活の質ランキング」(35位まで)となると、日本勢はゼロで、アメリカの都市では34位にサンフランシスコがランクされているといった具合で、この種のランキングの違いが際立っています。
しかし概して言えることは、この種の調査ではアメリカの都市の不振ぶりです。国全体の国力としては「世界に冠たるアメリカ」なのですが、都市レベルでの住みやすさの観点からはアメリカは残念ながら「圏外」ということのようです。ホームレス、犯罪、所得格差、治安といった面でアメリカの都市に共通する課題が大きな影を投げかけているのでしょう。だが、そんなアメリカの都市を代表するロサンゼルスですが、国際的な指標では「住みやすい都市」ではないものの、「住めば都」と割り切ってみれば、住みがいのある町なのでしょう。
著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)
通称:セイブン
1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。
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