日本にスムーズ帰国&新生活スタート応援
第14回
地方と都市で異なる介護の現状 〜田舎と都会、それぞれの課題と未来展望〜
◆都市部の介護課題と取り組み
大都市では高齢者人口が集中し、介護サービスへの需要が非常に大きい一方で、特養(特別養護老人ホーム)の待機者問題や介護スタッフの人手不足が深刻です。例えば東京都足立区では特養の入居待機者が約1,500人以上おり、平均待機期間が2年以上かかるケースも珍しくありません。さらに地価の高さや人件費の高騰で、新規施設の建設も難しくなっています。
このため、横浜市などではEPA(経済連携協定)による外国人介護福祉士の受け入れを進め、人材不足をカバーするほか、ロボット介護機器の活用などで負担を減らす試みが行われています。
◆地方の介護課題と取り組み
一方、地方では高齢化率が都市部以上に高く、若年層の流出で介護スタッフ自体が確保できない深刻な状況です。
例えば秋田県大館市では、小規模なデイサービス施設が人材不足のために閉鎖を余儀なくされ、高齢者が通える場所を失う事態が起きています。
しかし地方には「地域のつながり」という強みがあります。熊本県山鹿市では、住民主体で「支え合いサロン」を開催し、週1回の体操教室やお茶会を通して孤立防止・介護予防に取り組んでいます。こうした住民同士の助け合いは、今後ますます重要になると考えられます。
◆どこで介護生活を送るのが理想か
将来を見据えると、大都市中心部は土地の制約と施設不足で「介護難民」リスクが高いため、比較的住みやすく、医療インフラや地域包括ケアが進んだ地方都市・中規模都市が安心と言えます。おすすめの例としては、
静岡市(温暖で医療体制が整い、高齢者支援制度が豊富)
長野県松本市(地域包括ケアの先進事例が豊富)
富山市(公共交通や介護施設がまとまったコンパクトシティ)
千葉県流山市(都市近郊で若年世代と高齢者支援の両立を図る街)
広島市(地方中核都市として総合病院や福祉サービスが充実)
こうした場所なら、将来的にも「住み慣れた地域で最期まで安心して暮らせる」可能性が高いと考えられます。
(7/4/2025)

鍵山 学(Manabu Kagiyama)
不動産・ライフサポートのエキスパート
DOTOWN, Inc. 代表
25歳でアメリカ・サンディエゴへ渡り、現在まで26年以上にわたりアメリカでの生活を築いてきた。異国の地での経験を活かし、不動産、開発、ライフサポート事業を展開。現在は DOTOWN, Inc. の代表として、日本とアメリカの架け橋となるビジネスを手がけている。
DOTOWN(DOTOWN, INC. DRE#022113) は、日本で不動産開発や管理、介護・高齢者サービスなど幅広い事業を展開しており、「人々が安心して暮らせるコミュニティづくり」を理念に掲げる。鍵山はその経験をもとに、アメリカ在住の日本人がスムーズに日本へ帰国し、新たな生活をスタートできるよう支援するプロジェクト を進めている。 www.dotown.co.jp
■問合せ: m.kagiyama@dotown.co.jp t.saito@dotown.co.jp







