イノベーティブなSAKE造りで 日本酒を世界酒に

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稲川琢磨
Takuma Inagawa

株式会社WAKAZE代表取締役社長

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■「アメリカの日本酒市場はちょうど拡大時期にあります。このタイミングの波に乗って、日本の素晴らしいSAKEをイノベーティブに発信していきたい」
https://www.wakaze-sake.com

近年、日本国外ではアジア圏や欧米市場での人気を高め、国内酒造メーカーも海外進出を積極的に行う「日本酒」。日本食人気とともに日本酒も認知度を上げているアメリカ市場は、日本酒業界にとって重要な市場といえる。そんな中で今年アメリカでスパークリングSAKE「SummerFall(サマーフォール)」の販売を開始し注目を集める株式会社WAKAZEの代表取締役社長の稲川さんに話を聞いた。

「宝ホールディングス株式会社さんとの提携が実現して、今年4月にSummerFallをローンチしました。フレーバーは純米スタイルと柚子フレーバーの2種類。特にアメリカでは缶入りスパークリングタイプの日本酒の購買率が高く、日系やアジア系のスーパーでの取り扱いを進めているほか、人気高級スーパーマーケットのエアウォン9店舗で販売開始し、日本酒では珍しいスピード展開ができていることに手応えを感じています」

 「日本酒を世界酒に」をビジョンに掲げ2016年にWAKAZEを創業、新しい酒造りへの挑戦を続ける稲川さん。慶応義塾大学理工学研究科の修士を修了、在学中にフランスへ留学、外資系コンサルタント会社勤務の経歴を持つ。「実家はまったく酒造りには関係していないんです。ただ、祖父がカメラ部品の会社を作り、父が後を継ぎ、日本のクラフトマンシップを追求してきたこともあり、私自身も『日本のもの作り×海外』を軸に何か新しいことをやりたいという思いがありました」。コンサルティング会社にいた頃、たまたま入った寿司屋で日本酒を飲んで「日本酒ってこんなに美味しいんだ!」と感銘を受けたことが起業のきっかけとなった。「前職でいろんな業界を見る中で、お酒の業界では目立ったイノベーションが起きていないと感じたんです。どうすれば日本酒離れする若い世代に向けて新しい時代のプロダクトづくりやマーケティングができるだろうかと考えました。起業して最初に始めたのは、山形の酒蔵さんに委託してワインの樽で寝かせてお酒を作る、日本酒業界にはなかった委託ブランドビジネスでした」。ここでの売上が順調に伸びて2018年に東京・三軒茶屋に小さな醸造所を開設、年間30種類を超えるクラフトSAKEを展開。その翌年2019年にはフランスに醸造所を作り海外でのSAKE造りを開拓。「使用する水と米をはじめ発酵条件が日本と異なるので、きめ細かさを作るのが難しい。フランスの人々に好まれる味わいを完成させるために技術力を上げる苦労と時間はかかりましたが、そのおかげでWAKAZEはフランス市場でナンバーワンの日本酒ブランドに成長しました」

■WAKAZEは2019年にパリ近郊に醸造所「KURA GRAND PARIS」を開設。ミシュラン2つ星のフレンチシェフ、ティエリー・マルクス氏とのコラボレーションによるフランス産SAKEも誕生。
テイスティングする稲川さん(写真左)とマルクス氏。

 稲川さんは昨年末にロサンゼルスに移住。実際に住み込んでこそ、その土地の消費者のニーズや温度感が伝わってくるのだと話す。「今アメリカでは柚子がトレンドになりつつあり、発売したばかりのSummerFall Yuzuが予想以上の反響を得ています。2025年はさらなる飛躍の年にしたい」。

(12/11/2024)

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