原崎 ちほ: 平和への願い、テープアートにこめて

 

原崎 ちほ
Chiho Harazaki

テープアーティスト

ロサンゼルスを拠点に制作活動を行うテープアーティスト。今月25日までサンディエゴ・ジャパニーズ・フレンドシップガーデンで個展が開催されている。その後も夏にはワークショップ、秋からサンタクラリタやバレンシアで個展を開催(10/26~12/28)
https://chihoharazaki.com/
https://www.instagram.com/chiho_harazaki/?hl=ja

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ビニールやダクトテープなどの粘着テープを使用して、平面や立体を問わず描いていくテープアート。キャンバスや屋内ギャラリーなど一定の場所にとどまらず、建物の壁や道路、乗り物の車体まで、ありとあらゆるシーンが作品に生まれ変わる。テープアーティストの原崎ちほさんはこのアートに魅せられて以来、ロサンゼルスを中心としたローカルコミュニティで作品活動を続けている。  コロナ禍からの経済再開でLAでのイベントも増えている中、7月半ばにトーランスでグループ展示を終え、また8月6日には広島の原爆記念日にあわせてサンディエゴで行われる灯篭流しイベントでの展示が控えているなど、コミュニティに向けて精力的にアート活動を行っている原崎さん。これまで手掛けてきた数々の作品の中で一番の自信作であり思い出に残っているのは、約2メートル四方の大型作品『Hiroshima Black Rain』だと話す。「2年前にリトル東京で開催された、世界平和を願う美術と音楽のイベントで出品したこの作品は、われわれは広島と長崎の惨事をどうしたら後世に伝えられるか、未だ核兵器を作り続けている現実にどう立ち向かうべきなのかを考え、人間の愛や癒しを広め、世界の平和と正義を願う、そんな強い思いを込めて完成した作品です。  

 

静岡県焼津市の出身。彫刻家の杉村孝氏を叔父に持ち、子どもの頃から芸術に深い関わりのあった原崎さん。祖父は焼津の漁師。1954年にビキニ沖で被爆した第五福竜丸事件の話を聞いて育ち、より核兵器の恐ろしさを感じていることが、自身の作品を通して「平和と愛、正義」を訴え、問いかけることに繋がっているのかもしれない。  

 

そんな原崎さんにとって初の作品は学生の頃に制作したテープアートだった。「教授にテープを使った宿題を出されて作ったのが最初でした。家の近くにあるバーのバーテンダーをテープで描いてみたこの作品は、大学で開催されたStudent Showに選ばれました」。日々の生活の中で何気なく過ぎるワンシーンなどを立体的に発信できるのも現代アートの魅力といえるだろう。  

 

先日は、ビバリーヒルズのとあるストリートにテープアートを描いた。「ロサンゼルスはアメリカの中でも多様性に富んだ街です。あらゆるカルチャーやバックグランドを持つ人たちが暮らしていて、そのことが私にまた新しい要素を吹き込んでくれる。ここに住んでいる人たちは、異なる文化のユニークで馴染みのないアートにも興味を持ち、受け入れる懐の深さも持っています。自分の作品をみてもらう機会もたくさんあって、様々な可能性の広がっている場所なんです」  原崎さんの作品は、サンディエゴ・ジャパニーズ・フレンドシップガーデン展示ホールでの個展で7月25日まで展示されている。

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憎しみや悲しみを癒し、愛を広め、世界の平和を願う。作品『Hiroshima Black Rain』は、その思いを力強く代弁するパワーを放つ。

 

テープを切って貼って描いていくテープアート。手掛ける作品の大きさや素材は様々。「巨大な壁や飛行機にも描いてみたい!」と限りなく夢は広がる。

 

(7/20/2021)

 

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