ホーム、グレイスランドでエルヴィスをうたう (12/11/2019)

今年「第9回ジャパニーズ・エルヴィスを探せ!」優勝、メンフィスでの世界大会「Ultimate Elvis Tribute Artist Contest」で東洋人初のトップ10ファイナリストとなる快挙を果たした田中タケルさん。エルヴィスとジョン・デンバーのトリビュートアーティストとして活動するほか、彼らへの愛が高じてCDの日本盤解説も執筆。著書『魅惑のエルヴィス』(2007年)もある。 ウェブサイトwww.bekkoame.ne.jp/~nisenora/takeru-liveinfo.html

シンガー

田中 タケル

Takeru Tanaka


 惜しくも42歳でこの世を去ったキング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリー。

彼の存在は普遍的に世界中の人々を魅了し続けている。

エルヴィスのホーム、テネシー州メンフィスのグレイスランド周辺では毎年彼の命日8月16日を含む8月半ばの1週間を「エルヴィスウィーク」として盛大に祝う。

2007年からは世界各国のエルヴィスシンガーたちがチャンピオンシップを競う一大イベント「Ultimate Elvis Tribute Artist Contest」を開催。

この世界大会に今年、日本代表として出場した田中タケルさんがトップ10ファイナリストとなる快挙を果たした。  

サラリーマンとして働きながら過去20年にわたり土日・祝日にエルヴィスやジョン・デンバーのトリビュートアーティストとしてライブ活動する週末パフォーマーとして、主に東京近郊で活動する田中さん。

「両親は1930年代生まれのエルヴィス世代。私も高校の頃からエルヴィスにハマり、両親も飽きれるほどのエルヴィスマニアと化していきました。エルヴィスファンは誰しもあの煌びやかな衣装を身にまとい熱唱してみたい願望に取り憑かれるもの。私も知り合いのシンガーさんのライブに飛び入り出演するうちに病みつきになり、エルヴィスを歌うようになったんです」  

メンフィスで開催されるこの世界大会だが、2010年から日本で予選大会がスタート。今大会は田中さんにとって初出場となった。

「これまで周囲から出場を勧められていたものの、正直、採点されたり評価されるのが怖くて、逃げ回っていたんですよ。ところが昨年末、30年近く勤めた会社をリストラ。定年まで勤め上げる気満々だったので愕然とした私は『こうなったら何でもやってやる!』と半ばヤケクソで日本大会にエントリーしました」  

 

世界大会は、エルヴィスの邸宅そばのグレイスランド・サウンドステージで8月9・10日に開催。

田中さんは予選で『恋のはた織り』『アイル・リメンバー・ユー』、決勝では『トライング・トゥ・ゲット・トゥ・ユー』『悲しみの夜』を披露。

「私が歌いだした瞬間、エルヴィスファンが埋め尽くす会場がどよめき、歌い終えると盛大なスタンディングオベーションが巻き起こったんです!」。

優勝したテイラー・ロドリゲスは21歳。

若年の出場者が多く、次世代へエルヴィスを伝えていく将来性あふれるパフォーマーが選出されるところにアメリカンドリームを感じたと話す。

「失業がきっかけで思いもよらぬ素晴らしい経験ができました。まさにピンチはチャンス。幸いにして次の仕事にもありつけた。これからも週末パフォーマーとして活動を続けますが、もしまた失業したら、これ幸いとばかりに何か大きなことにチャレンジしてみたいですね」。

大会ステージでは『恋のはた織り』などを披露。「エルヴィスファンなら『そう来たか!』と思ってくれるであろう、やや渋めの選曲でいきました」

「楽屋では私以外の出演者は全員英語スピーカー。ハンパないアウェー感でしたが、ステージに出ると、オーディエンスが暖かく迎えてくれた。ここは天国かと思いました」

 

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