2025年日本プロ野球がスタートした。各球団、各地でのキャンプが盛り上がっている。読売ジャイアンツ一番の注目の的は楽天から移籍して来た田中将大だ。スポーツニュース、新聞、YouTubeと話題を独占している。日米通算200勝は達成出来るのか。
田中投手は23年に右ひじを手術し、その影響で昨年はコンディションが上がらず、1軍登板は9月28日の1試合のみ。オリックス戦に先発登板したが5回6安打4失点で黒星。プロ18年で初の一軍未勝利に終わり、田中限界説が言われ出した。オフには球団との契約がこじれ自由契約となった。
その後、なかなか手を挙げる球団が無く去就が心配されたが、読売ジャイアンツに落ち着く事に。獲得に動いてくれてありがとう。もしどの球団も名乗りを挙げなかったら、日本プロ野球全体が冷たいと言われてしまう。何といっても球史に残る名投手なのだから。
実は田中投手が最も復活出来る環境はジャイアンツではないか。楽天時代、田中投手だけが別格のスターだった。しかし巨人は小学校時代の同級生坂本勇人や先輩の長野久義、ベテランの丸佳浩とビックネームに事かかない。これは彼にとって気楽なはずだ。昨シーズンの成績が不本意だった坂本とはキャンプ前に今シーズンに掛ける熱い決意も話し合った。更に昨シーズン菅野選手を15勝3敗と完全復活させた名伯楽久保コーチが、阿部監督指令のもと、付きっきりで田中を指導する姿が連日報道されている。
新投球フォームも徐々に様になってきた。好調を裏づけるように早くもチームに溶け込み、日増しにグランドで笑顔を見掛けるのも印象的だ。若手投手陣も最初は遠慮がちだったが、休憩時間には近寄りアドバイスを受けている。
実際の所、今シーズンどのくらい活躍が期待出来るのか。あと3勝で200勝は問題ないが、勝つことと同等に大切なのが負けないこと。田中投手のメジャーリーグから戻って来た4年間の成績を見ると、2021年4勝9敗、2022年9勝12敗、2023年7勝11敗、2024年0勝1敗で4シーズンとも負け星が先行している。数字だけ見ると復活は並大抵な事ではない。3勝しても6敗するかもしれないのだ。まして菅野の15勝なんて大変な数字になってくる。しかしなのだ。2013年開幕から24勝0敗のギネス記録を作った活躍が脳裏に焼き付いているマー君ファンは復活を信じている。
もちろん野球は過去の栄光では投げられないが、野球には夢とファンタジーもあるのだ。怪我も治って開幕から物凄いピッチングをする事も考えられる。どちらにせよ田中将大から目が離せない。
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。