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樋高 リオ
Rio Hidaka
ヘビー級プロボクサー
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体格で劣る日本人には厳しい戦いと言われるボクシングのヘビー級。元WBCアジアヘビー級王者の樋高リオ選手は、厳しい階級の最高峰、日本人初のヘビー級世界王者を目指して戦い続けている。
11月18日、カリフォルニアのレイクエルシノアで自身にとって8年ぶりの試合に挑んだ。アジアのヘビー級を制した後に渡米して以来、樋高選手にとってこの8年は、怪我による戦線離脱、相次ぐ試合キャンセル、さらにはコロナ・パンデミックによる業界の活動停滞など不運続きでもあった。「自分の存在を示すために臨んだ大事な試合でしたが、勝利に至ることはできなかった。頭が回らずうまく攻撃できなかったことが大きな敗因です。しかしフィジカル面では手ごたえを感じることができた。今回の試合相手だったJosue Vargas選手は、フィジカルとパワーが抜きんでている選手です。その選手に自分はフィジカルで劣っていなかったし体力的に全く問題はなかった。引き続きフィジカルを強化していくと同時に、『自分の力を再確認』して、できることをもっと増やしていくことが次の勝利への課題です」
ボクシングに本格的に取り組み始めたのは25歳。当時の日本はKー1グランプリやPRIDEなど格闘技ブームの真っただ中。樋高選手はひざの手術を終えたばかりだったこともあり、蹴りのないボクシングを始めた。しかし「自分の思うボクシングが全然できない」悔しさが増して、いつのまにかのめり込んでいったという。2006年にはボクシングのためにオーストラリアへ。ニュージーランドでプロデビューし、5戦目からは日本で活動を開始した。その後、環境やモチベーションがともなわず引退も考えたが、「まだ自分はここまでじゃない」という思いは強かった。2014年から拠点をアジアへ移し、翌年、WBCアジアヘビー級タイトルを獲得。「アジアを獲った。次はアメリカだ」と2016年から数年はロサンゼルスで暮らしながらトレーニングを行い、現在は日本とアメリカを行き来して次のタイトルを狙う。
11月に行われたレイクエルシノアでの試合は突然に決まり、調整期間も短い中での試合に臨んだ。突発的な試合にも挑める、いつでもReadyな状態にしておくことを念頭に走り続ける。
40代になった今も、体力・精神力にみじんの変化はない。「ボクシングの世界で40代半ばの世界ランカーはざらにいますし、それはボクシングだけでなくどの競技でもいえることです。最初、自分がボクシングを始めた時に『日本人はヘビー級で通用しない』と言われました。でも絶対にそうじゃない。『自分が世界に通用する日本人になったろやないか』その気持ちは変わらない。40代だろうが世界ランカーに食い込んで、世界のてっぺんを獲りにいきます!」。
(11/29/2023)
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