特別取材!ジェシカ・パーク:MLBコーポレートパートナーシップ担当|野球を通して革新的でインパクトのあるアイデアを!

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野球を通して
革新的でインパクトのあるアイデアを!

ジェシカ・パーク Jessica Park
MLBグローバル・コーポレート・パートナーシップ担当

 アメリカで発足して約150年。歴史に名を刻んだメジャーリーガーたちの偉業とともに、大衆たちに愛され続けてきたメジャーリーグ。人々にとってボールパークは単に野球を観るだけの場所ではなく、野球を通して人と繋がり、感動を分かち合う夢の詰まった空間。今シーズンも多くの人々がゲームに足を運び、熱闘が繰り広げられるフィールドを囲んで大歓声を上げている。

 そんなアメリカの大リーグ文化を持続可能にしているのは、野球ファンを虜にする各球団のチーム力によるのはもちろん、そしてまた全球団を統括するMLB(メジャーリーグベースボール)のマネージング力も大きい。NYマンハッタンを本部とするMLBは、コミッショナー事務局、野球運営、マーケティング、広報、放送とメディア、テクノロジーとデータ関連、リーグ経済、スポンサーシップなど、メジャーリーグに関わるすべてのビジネスや運営機能を指揮する。

 ジェシカ・パークさんは2022年にMLBに入社、グローバル・コーポレート・パートナーシップ担当としてリーグ全体の発展に力を注いでいる。「野球やスポーツを通して、企業とリーグが有意義な関係を築き、お互いの成長のためにパートナーシップを結ぶのは素晴らしいことだと思います。私の役割は、パートナー企業のマーケティングやブランディングのニーズを満たすことのできる優れた企画を生み出すことです。そこには、革新的でインパクトのあるアイデアも求められます。様々な業種について研究しながら、アメリカや世界の野球ファンを獲得するために、野球をユニークに活用していくことが大切。そこが挑戦であり、興味深いところでもあります」

夢はNBAのコミッショナー

 子供の頃に韓国からロサンゼルスへ移住した両親のもとに生まれ、カリフォルニア州ベーカーズフィールドで育った。アジア人も韓国系コミュニティもほとんどない郊外から毎週末のようにLAのコリアンタウンに出かけ、韓国スーパーで買い物をしたり、親戚に会いに行ったのを覚えているという。子供の頃にはピアノやヴァイオリンを習っていたところから、最終的にはゴルフに熱中するようになり、カリフォルニア中のゴルフトーナメントに出場。両親は娘が情熱を注ぐことに対してとても協力的で、母は毎回トーナメントに付き添うなどゆるぎないサポートをしてくれた。「といっても、プロゴルファーを目指していたわけではなかったんです。私の子供の頃の夢は、アメリカのプロスポーツリーグのコミッショナーになることでした。ある時、NBAのコミッショナーだったデビッド・スターンがドラフト指名を発表するのを見て『すごい!彼になりたい』と思いました」

 南カリフォルニア大学で経営学を専攻、スポーツメディア学を副専攻で学ぶと同時に、スポーツビジネス協会に所属。スポーツ業界の様々な側面に触れることによりスポーツに関わる仕事がしたいという純粋な情熱が生まれたことに気づいた。

 大学在学中から積極的にスポーツ関連のインターンを開始。FOX SportsチャンネルではUSC大学フットボールの放送を担当したほか、タイガー・ウッズ財団(現在のTGR)でのインターンでは、リビエラ・カントリー・クラブで開催された初年度「ジェネシス・オープン」にも携わった。

家族で。写真左は弟。現在22歳の弟は、UCアーバイン校でテニスプレーヤーとして活躍。

LAドジャース財団からフロントオフィスへ

 大学3年生だった2018年には、LAドジャース財団の戦略的パートナーシップと慈善事業に参加し、そこでパートナーシップに携わることへの強い情熱を抱くようになったという。同財団は、LAドジャースの公式慈善団体であり、野球をプラットフォームとして教育・医療・ホームレス問題・社会正義など、ロサンゼルスの重要な問題に取り組んでいる。そこでは、地域社会にポジティブな影響を与える地域プログラムへの助成金投資の管理などに従事した。その後、LAドジャースのフロントオフィスに異動。「そこで私は、パートナーシップやマーケティングからビジネス分析や戦略まで幅広く触れることができました。ここでのスーパーバイザーたちの指導とサポートが私のキャリアを形成し、スポーツのフロントオフィスを成功させるためのより広い視野を与えてくれたんです」

アジアンコミュニティとの関わり

 LAドジャース勤務時の2020年には、コロナパンデミックが発生、アジア系アメリカ人が人種差別や襲撃の被害に直面していた。「そこでパートナーシップ・アドミニストレーション・アンド・サービス部のディレクターを務めるジェニー・オーさんと私は、ドジャース初のアジア系アメリカ人・太平洋諸島民ビジネス・リソース・グループを立ち上げ、韓国やジャパニーズヘリテージナイトなどアジア各国のヘリテージナイトのイベントをサポートしました。これをきっかけに、自身のアジア系としてのアイデンティティと、アジアンコミュニティやアジアの企業が相互に連携することにより、アジアのビジネスや文化をより深く理解できることや、アジアンコミュニティと関わりを持つには様々な方法があることを学びました」

 現在、勤務するMLBオフィスはNYマンハッタンだが、シーズン中はとにかく出張続き。今年も上半期はシアトル、マイアミ、ロンドン、そしてまたシアトルと飛び回った。「我々MLBの最大のイベントであるWBC、オールスターゲーム、ワールドシリーズ。シーズンを通して行われるこれらのイベントにパートナー企業を招待するために私も現地に飛びました。これによりパートナー企業との接点〝タッチポイント〟を持つことができる。とても貴重な機会なんです」

 また、今年からMLBは、投手の投球時間を制限するピッチクロック制度など新ルールを導入したことにより、ファンや選手からのフィードバックも集まっている。フィードバックを確認し次シーズンに反映させるのもMLBにとって重要な仕事だ。「それに加えて、このたび大きな国際試合プランも発表。来年はドミニカ共和国、ソウル、メキシコシティ、ロンドンでの国際試合も予定されています。メジャーリーグの興奮をぜひ様々な国のファンの人たちに届けていきたいと思っています!」

祖父といっしょに。

「私の近い将来の目標は、世界的なブランドやメディア組織、新興市場とのグローバルなパートナーシップを拡大するうえで、より大きな役割を果たし、野球を世界中に広める一旦となること。その先のもっと大きな夢は、アメリカのメジャースポーツチームの最高レベニュー責任者(Chief Revenue Officer:CRO)になることです!」

(8/8/2023)

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