熊田曜子のボディから『ヨイトマケの唄』が聞こえる

 横浜武道館の「K-1 WORLD GP」のスペシャルラウンドガールとして熊田曜子が登場。セクシーな衣装を身にまとい、19歳でデビューした時と変わらない肢体を見せつけ、観客の目を釘付けにした。4月には70作品目のイメージDVD『出会ったころを思い出す』を発売。

 熊田曜子と言えば、2012年に結婚した男性との間に3児をもうけたにもかかわらず、2021年夫からの暴力を受けて刑事事件になったのをきっかけに、熊田の不倫疑惑も浮上し泥沼化していった。マスコミ、特に新聞、週刊誌はこのスキャンダルを面白おかしく取り上げ、世間の目も夫より熊田曜子に冷たく、イメージは急降下してしまった。仕事も無くなり、母子4人、高級マンションからの引っ越しも余儀なくされた。

 私は何度も一緒に仕事をしている関係から、心配で連絡を入れたところ、電話口の声はとても元気だった!引っ越しの件も「子供達が学校で仲良くしている友達もいるので、部屋は小さくても良いのでこの地区に居たいんです。どんな仕事でも受けて子供達を支えます。」と並々ならぬ決意を語ってくれた。

 結局、裁判は熊田曜子の勝訴、離婚も成立、彼女の不倫疑惑も無かったのだ。あれ程スキャンダラスに報道していたマスコミも、勝訴の判決は殆ど記事にしない。これって何?熊田としても、もっと報道してよと言う訳にもいかず、もしかしたら一般の人々は今も不倫をしたと思っているのでは。それでも健気に41歳の鍛え抜かれたボディーでリングに上がる。あの肉体を維持するのがどれ程大変なことか。それなのに世間は厳しい。これって変じゃないの?夫にDVされて別居して子供達を育て守って頑張っているのに・・・。

 本来ならこの騒動、NHKの「ニュース7」で報道すべきではないか。子供を産み、復帰した和久田麻由子アナが司会を担当している。和久田アナなら熊田の気持ちも理解してくれるだろう。最近よく言われている「働く主婦をどう守るか」のテーマにも最適だ。しかし、ラウンドガールが頑張っていても、夕刊紙は取り上げでも一般的な理解は薄い。それって職業差別になりかねない。

 私思うのです。美輪明宏さんの名曲『ヨイトマケの唄』、「父ちゃんのためならエンヤコラ!母ちゃんのためならエンヤコラ!子供のためならエンヤコラ!」と、工事現場で働く母親のことを子供が偲ぶ唄だが、熊田のやっている仕事ってまさに現代の『ヨイトマケの唄』ではないか。現場で働く作業着が水着になっただけなのだ。

 熊田の働く姿を見て子供たちは誇りに思っているに違いない。

 

 

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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