キャリア官僚よ、LGBTの人たちと向き合え

 荒井勝喜総理秘書官(55)が差別問題で更迭された。岸田総理大臣も「言語道断」だと悔しさをにじませた表情で「厳しく対応せざるをえない発言である。」と普段見せない顔つきで取材に応じた。

 事の発端は2月3日夜、荒井総理秘書官が記者団に対して、性的少数者(LGBT)や同性婚について「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。」「同性婚を認めたら日本を捨てる人が出てくる。」と発言したことだ。あまりにも世間の認識とかけ離れた非常識な発言に、早々4日に更迭の発表となった。8人いる秘書官の中では最も岸田さんに近い存在と言われ、総理会見のスピーチライターなども務めていた。先月岸田総理の長男で政務秘書官の翔太郎氏が外遊先で公用車を使って土産購入をしたことが物議を醸したが、今回の失言は比べようもない大失態だ。

 荒井秘書官の「同性婚の法制化についても首相秘書官はみんな嫌だと言っている。」の発言の裏には、とても重要な事が隠されている。LGBTの皆さんが国家公務員採用総合職(キャリア官僚)の1次、2次試験を通っても面接で絶対に受からない事だ。万が一合格してもLGBTをひた隠し続けなくてはならないのでは。これって江戸時代の「隠れキリシタン」信者と全く同じではないか。官僚界に於けるこういった悪習は今日始まったことではなく、長年に渡る悪しき体質にあると感じる。まさに日本の悲劇なのでは。

 「自分家の隣に引っ越して来て欲しくない」という考え方って、LGBTの皆さんの事を知らな過ぎる。芸能界にいると才能の溢れる人と沢山出会うことが出来る。はるな愛ちゃん!心優しく芸事も達者、女性以上に綺麗になるため日々努力をしている。寒い日は手が荒れるからとクリームを頂いた。ピーターこと池畑慎之介は、あの黒澤明監督の「乱」にも抜擢された天才役者。歌も踊りも名取級、自宅でふるまってもらった手作り料理は最高に美味しかった。インテリアのコーディネートもプロ並。日本テレビ「スッキリ」で共演していたロバート・キャンベルさんの知的なファッションセンスは芸能界No.1。私は音楽業界、美容業界、ファション業界、多くの才能豊かな皆さんからどれだけ人生の夢とヒントをもらったことか。

 政治の世界が彼らの存在を認めていないのは恥ずかし過ぎる。批判している官僚だって彼らに会えば親しみと尊敬を抱くに決まっている。当然日本を良くしたい、政治を変えたいと感じているLGBTの方もいる。岸田総理大臣も「言語道断」と分かったような事を言ってないで、採用試験の基準を直ぐに見直して欲しい。新鮮な感性を入れることで日本の政治は絶対に変わる!

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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