関利彦: 江戸前寿司をアメリカで。この道一筋40年

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関利彦
Toshihiko Seki

寿司職人/オーナー

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寿司の道一筋40年。今年3月に長年営業してきた「利寿し(としすし)」をリトル東京からガーデナに移転オープンした関利彦さん。
利寿し
1725 W Redondo Beach Blvd Gardena, CA 90247
(310) 217-9700
インスタグラム: https://www.instagram.com/toshisushi.gardena/

今年3月、リトル東京からガーデナに移転オープンした「江戸前 利寿し(としすし)」。「広い店だけど、カウンターからすべてが見渡せることが大事。ちゃんとサービスが行き届いているか、お客様に料理を満足していただいているかっていう温度感がわかるからね」と話すのは、この道一筋40年の匠でありオーナーの関利彦さん。カウンターの向こうからトシさんの人懐っこい笑顔と江戸っ子の口調で「何が食べたい?」と聞かれると、そこはもう江戸前の寿司屋。

今年3月8日にガーデナにオープンした「江戸前 利寿し」。写真はオープンセレモニーにて。

東京は品川出身、生粋の江戸っ子。高校生の頃には、地元で叔父夫婦が営んでいた寿司屋で手伝いをしていた。「叔父さんと叔母さん二人だけでやっていた寿司屋だったから、年末は特に忙しい。だから僕が度々手伝いに行っていたんです。当時はまだ高校生だったから寿司を握っていたわけじゃないけど、玉子を焼いたり、穴子の下ごしらえをしたりと、寿司屋の仕込みはそこで覚えたね」

知り合いのつてでサンディエゴの寿司屋から「アメリカでやってみるか?」と声がかかり、1982年、19歳の時にアメリカへ渡った。「その寿司屋の親方も周りの職人さんたちもみんないい人でね、職人としての仕事をいろいろと教わりました」。80年代後半には、西海岸を後にし、ニューヨークの老舗の寿司店AzumaSushiに就職。「その店は五つ星を3年連続で取ったほどの高級店で、おまけに築地から来た凄腕の板前さん揃い。さらに居酒屋メニューなどない寿司だけを提供する超多忙な寿司の専門店。いかに早く旨い寿司を握れるようになるか、2年間みっちりと修行させてもらいました」。その後、同じく東海岸のコネチカットの店で5年ほど働いた後、自分で100席ほどもある大きな店を開店、全米レストランガイド「Zagat」で高得点を獲得すると同時にローカルからの支持も集め人気を博した。

寿司は、ネタとシャリが命!素材、そして素材の旨味を引き立たたせる腕前を追求し続ける。


2006年に再び西海岸のロサンゼルスに戻ってきたトシさんは、日本食レストランで働きながら、週末にプライベートケータリングを提供。その翌年には、ジャパニーズフードフェスティバル寿司コンテストや、寿司早握りコンテストなどに出場して連続優勝。知名度を上げていき2008年よりリトル東京に「利寿し」を営業するに至った。「リトル東京界隈の寿司店のオーナーさんや職人の先輩方も僕が店を開けたことをとても喜んでくれて、コミュニティにあたたかく迎え入れてもらえたのは本当に嬉しかった」

今年3月にオープンしたガーデナの新店へは、ローカルの人はもちろん、長年の常連客も変わらずトシさんの握る寿司を求めてやってくる。「お客さんが気軽に店に入ってきてくれて、僕が寿司を握って、それを食べてもらって、『美味しかった』とにっこりとしてもらえる。シンプルにそれが一番幸せなことだよね」

カウンターの向こうで、人懐っこい笑顔、江戸っ子の乗りのトシさんが美味しい寿司を握ってくれる。満席で賑わってもテーブルがゆったりと配置され落ち着いて寿司を味わえるフロアスペースを確保したスタイリッシュな店構えも魅力。

(12/20/2022)

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