宿命のライバルと言われるヤクルトスワローズ村上宗隆選手がとんでもない活躍をしている。あの王貞治も成しえなかった、5打席連続ホームランのプロ野球新記録を達成したのだ!
メジャーリーグでも前例のない偉業。日本人初の60発に加えて令和初の3冠王の実現性も高まってきた。村上選手のホームランで沸き返る神宮球場からさほど遠くない東京ドームでは、新型コロナ感染からの復帰戦となった阪神戦で岡本選手がチャンスに打てず、巨人は負けてしまった。まさに4番の力の違いを見せつけられる試合だった。
春先首位を走っていたジャイアンツの最下位転落も残念ながら現実味を帯びてきてしまった。考えてみれば、つい2ヶ月前は岡本と村上の本塁打、打点はお互い15本、45打点辺りで争っていたはずなのに。
私自身「2人の勝負は9月まで持ち越し、岡本は2年連続本塁打王、打点王と実績があるから、最後は岡本に軍配が上がるな」と楽しい予想をしていたのだが・・・まさかの、村上選手に両部門ともダブルスコア近く離されているのだ。
この間ヤクルトスワローズは村上の活躍もあり、現在首位を独走。このままでは8月末にも優勝が決まる勢いだ!巨人ファンにとって最悪の2か月になってしまった。
今、岡本は何を考えているのだろう。ジャイアンツの4番になってから最大の不振に陥っている。4番が打っていれば勝てた試合が何試合もあった。チャンスに三振してベンチに帰る後ろ姿を幾度となく見た。ドームに響くため息を何度聞いたことか。セリーグ打撃個人成績を見ると岡本は最下位にいる。勿論ファンの悲しいため息が一番胸に刺さるのは岡本自身だろう。自分が打っていれば勝てたのに・・・・敗戦の後どんな気持ちで家路につくのか。翌朝スポーツ新聞、スポーツニュースを見るのだろうか?
しかし、こんな状況でも4番岡本の降格話はマスコミからもファンからも球団からも聞こえてこない。どんなに不振でも巨人の4番は岡本しかいないと皆思っている。責任を感じて、逆にバッティングに迷いが出たのではとも言われているが、ファンはその原因なんか聞きたくない。試合で打ってくれれば、ホームランをかっ飛ばしてくれれば、勝ってくれればそれでいいのだ!
岡本の心の葛藤などむしろ知りたくない。大活躍の姿しか見たくない。ファンは本当に身勝手なのだ! そうなんです、ファンのため息なんか気にしないで、残りの今シーズンを好きなように暴れて欲しい。そんな中、ファンはまたしても見勝手に、優勝は諦めてもCSには絶対進出して欲しい! と願っているのだ! 本当にズーズーしいね、ジャイアンツファンって!
それにしても村上凄すぎる!
・
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。