私はミステリー小説が大好きなのだ。その中でも謎解きものには目がない。アガサ・クリスティーの『エルキュール・ポアロ探偵』や『シャーロック・ホームス』『刑事コロンボ』などは数えきれないほど観てきた。どちらかというと王道の英国謎解きが好みなのだが、私の概念をぶち壊すとんでもない探偵ものが遂に現れた!
その名も『ワンコ探偵マックス』。スペインの国営放送で2018年に放送され、現在日本のAXNミステリーで放送中。物語は、私立探偵を目指すが何度も試験に落ちているお人好しのアルベルト青年と、ある秘密組織によって人間の言葉を理解して話せるようになった犬マックスが主人公。マックスはその能力を使ってスパイ活動をしていたスーパーワンコ。あまりにも機密情報を知りすぎた為に組織から狙われ、逃げ出した時にアルベルトとの運命的な出会いをするのだ。その後二人で探偵事務所を設立し、毎回難事件を解決していくハチャメチャ探偵コンビ。今まで見たことがない設定で圧倒的に面白い。
犬が喋る映画やテレビはよく有るが、殆どがディズニー映画に代表されるような健全な子供向き。それに対しマックスは少しやさぐれた性格で、探偵のアシスタントもするが気の弱い相棒に恋愛アドバイスもする。これまた的確なのだ。犬としてのプライドも高く、散歩に出ても女性がいるとおしっこをしたがらない。その辺の犬と俺を一緒するなといつも怒っている。そのくせ可愛いワンちゃんに態度が豹変して紳士になるなど、なんとも人間ぽい?ところがいい。回を重ねる度にマックス探偵に入れ込み友達になりたくなってくる。
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ほどんどのシーンは特撮をしていないはずなので、どうしてこんな動きが出来るのかといつも感心する。天才犬かも。人間の言葉を喋るシーンはさすがに口元だけはCGだが、大雑把で適当な動きに親近感が持てる。本当に喋っているのかもと思わせるのが、凄い!
それにしてもスペインテレビ恐るべし!陽気な国民性だからなのか。日本なら絶対に企画が通らない動物モノ、たいして感動することもなく、ミステリーも複雑じゃない・・・でも見終わった時の何とも言えない爽快感が嬉しい!仲間に教えたくなってくる。
私、マックスの犬種を調べました。ジャック・ラッセル・テリア(イギリス産)で、性格はひょうきん、恐れ知らず、聡明、頑固。なるほどドラマの役柄そのままじゃないか。残念ながら実際に飼う事は難しいので、せめてぬいぐるみは欲しい。アメリカでも『ワンコ探偵マックス』頑張れば見ることができるはずなので是非チェックしてみてください!ハッピー気分になりますよ! マックス日本に来てくれないかな~!
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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。