私の好みを何故知っているの!

「無駄遣いの王様」の私はネットショッピングするのが大好きなのだ。夜な夜な寝床につくとYahoo Shoppingについアクセスしてしまう。掘り出し物の英国製ヴィンテージ・ブレザーはないのか?ナポレオン・ジャケットはないのか?90年代の50万円クラスの国産車はないのか?時間を忘れて検索している。時にはパソコンの電源を切らずにそのまま寝てしまうことも・・・

翌日の夜、再びパソコンを開きヤフオクを見ると「テリーさん、貴方の好みはこれではないですか」と、そこには私が好きそうな60年代のツイード・ジャケットが!!  更に、私も忘れていた懐かしく値段も手ごろな車の写真が出ている。それだけではなく、ネットフリックスやアマゾンプライムを観た後にも「貴方の見たい映画は、ドラマはこれではないですか?」と案内がくる。見たいと思っていたものが紹介され私の心を鷲掴みする。これって・・・!?

Amazonで好みの書籍を購入した後にも「貴方が興味を示す本」の通知が直ぐに届く。本を読んで密かに賢くなりたいと思っている時に、先回りされて次の本を出される。こちらの頭の悪さを見透かされているみたいで落ち込んでくる。こんな経験皆さんもありませんか。確かに手間が省けて便利といえば便利なのだが、自分自身はもっと複雑で独創的だと思っていたのに、他人から見ると単純なんだとがっかりすることがよくある。これってきっと膨大なデータからコンピューターが答えを出しているので、いくら複雑ぶっても次々と商品紹介が送られてくる。凄い世の中だ!

海好きの私はよく海の映像を見ている。データは当然私の年齢も熟知しているので、将来湘南の海が一望できる老人ホームや海辺の霊園案内が届くのも容易に想像できる。私がしぶとく90歳過ぎても一人暮らしをしていたら、寂しいだろうと美人おばあちゃんも斡旋してくれそうだ!近所付き合いが上手くない私にとって有難いかもしれない。しかも好きなタイプの女性を紹介してくれるなんて嬉し過ぎるではないか。

今のうちから好みの芸能人の写真集を買っておけば、向こうはデータとして保存してくれるはずだ。先ずは「名取裕子」「ジュリア・ロバーツ」の写真集は買わなくてはならない!あとは誰にしようか。女子スピードスケートの小平奈緒選手の隠れファンなので彼女の本や、日増しに美人になってゆく女子スキージャンプの高梨沙羅選手も外せない。2人共冬季北京オリンピックのテレビを見て更に好きになった。

 

写真:高梨沙羅さん

 

それにしても、何気なく深夜ネットショップを見ているだけで自分の趣味趣向データが誰かに知られてゆく!凄い時代になったものだ!

 

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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