ウォークマンの出現で日本人が変わった

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1979年SONYが発売した「ウォークマン」は画期的だった。なんたって歩きながら音楽を聴くことが出来る。それまでもラジカセや携帯レコードプレーヤーは存在していたが、デカいのでどうしても持ち運びは不便、まして電車の中で聞いていたらひんしゅく間違いなし。ヘッドホンを付ければいつでも何処でも音楽を楽しめるようになり、日本の通勤、通学の風景が一変した。車内はウォークマンだらけになっていく。私もその一人だった。ビートルズ、サイモンとガーファンクルを自分だけが聴ける贅沢さ。混雑も気にならない。むしろ至福の時間だった。

「自分ワールド」に入りこむことが出来た半面、後から考えると無くしたものも大きかった。それまでは電車に乗った時には車窓を楽しむ、周りの人を見る、車内アナウンスを聞く、季節を感じる、というように外の世界と繋がっていた。ところがウォークマンを付けた瞬間、勿論音楽で癒され、心を軽くし、孤独が和らぐなどのメリットもあるが、「自分ワールド」が強くなって外を遮断し「偶然の出会い」を逃すケースもある。駅の雑踏、誰かとの会話で人生を豊かにする機会もあったのに。


時は進み、現代はスマホ時代。耳にイヤホン、目は画面、指はスクロール。音楽、映像と全てが自分専用に。1979年には誰も想像しなかった。さらに凄いのがTikTokは「時間」を変えた。私は映像の世界に20代から身を置いている。好きな映画を見ながら、あの長回しのシーンに感動した。黒澤明監督『椿三十郎』の三船敏郎と仲代達矢の息詰まる対決のシーンは瞬きも忘れた。ラストの椿三十郎が去ってゆく姿と風の音はたまらない、凄すぎる、そんなことを思いながら見ていた。ところがTikTokは違う。最初の1秒で興味を持ってもらえなければお客さんは次へ行ってしまう。2秒で次、3秒で次…映像も音楽もどんどん早くなる。

歌謡曲のサビは後半だったが、今は最初にサビ。そうしないと飛ばされてしまう。凄い時代になって行く。 確かに便利さは増え、情報も増えた。けれど「ゆっくり考える」「何も起きない」「待つ楽しさ」が消えている。本当は退屈時間が大事なのに。退屈だから考える。空を見る。人に話かける。退屈だから新しいアイデアが生まれる。今は退屈だとすぐにスマホに逃げてしまう。スマホを見ていると想像力を失ってしまうのでは。 ここで提案。月に一度はスマホ休息日「デジタルデトックス」オススメ。その日何をするか。きっと素敵な出会いが待っています。どうですか、手ぶらで街に出ませんか。


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