奇跡の一本松を見に行った

岩手県陸前高田市の高田松原跡地に立つ『奇跡の一本松』。350年に渡り植林され、約7万本の松の木が生い茂る日本有数の景勝地だった高田松原は、2011年3月11日に発生した東北地震と大津波によってほとんどがなぎ倒された。しかしそれに耐え、西端近くに立ったまま唯一残ったこの一本松は、震災からの復興のシンボルとなった。皆さんもテレビなどでその雄姿は見たことがあるのでは。

 

 

以前から本物を見たいと思っていたが、なかなか機会がありませんでした。先日、『唐揚げの天才』を一緒にやっているワタミグループの渡邉美樹さんが岩手県に展開するオーガニックランドのオープニングセレモニーに出席した帰り道、寄ることができたのです!その姿は神々しくもあった。当日はあいにくの強い雨だったのだが、それがまた一段と印象的だった。海風にあおられながら何も言わずそこに立つ。

10年前陸前高田のみなさんはどんな気持ちでこの松を見つめていたのか。10年が経ち、新たな生活や仕事を求めてこの街から離れていった人もいるが、奇跡の一本松はここにいる。悲しい思い出が蘇るから見たくないという人も当然いるだろう。癒される人も。元気をもらう人も。一本松は全てを背負って立っている!偉いじゃないか。

近年この近くに4万本の松を植林したそうだ。彼らが成長するには30年位かかるという。新しい松林に『奇跡の一本松』は何と話かけるのだろうか。「大きな津波がまた来るかもしれない!覚悟を決めておけよ!その時はまた人間に勇気を与えろよ!」と言ってくれるのだろうか。暴風雨の中そんな事を考えていた。

陸前高田の多くの若者と話す機会があった。何が望みですかと尋ねると「たくさんの人に来てもらいたい!」「一緒に話がしたい!」「おいしい魚を食べさせたい!」若者たち、最高なんです!これですよね。私ほどセンチメンタルじゃないんです。陽気なんです。そこで私考えました。来年オーガニックランドに野外ステージが完成したら「陸前高田ライブエイド」を企画したい!知り合いのミュージシャンの皆さんにも声をかけてみます。地元のアマチュアバンドも大歓迎!将来ここから伝説的なバンドも生まれるかもしれない。周辺に民家の無いこの場所なら大きな音も出し放題。夜遅くなっても怒られないだろう。FUJIロックやサマーソニーみたいになるかもしれない!夢膨らむな~!

待てよ、そうだ『奇跡の一本松』の事を忘れていました。近くに居ました!でもきっと許してくれるよね、たとえ寝不足になっても。

一本松さん、一緒に踊りませんか♪

 


■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

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