【ロサンゼルス9日】ICE(移民関税執行局)の移民取り締まりに対する市民らの抗議活動が激化する中、ロサンゼルス統一学校区(LAUSD)のアルベルト・カルバロ教育長は9日、学校警察を配備してICEらの侵入を防ぎ、キャンパス内のセーフゾーン化をはかる対策を発表した。
同学校区では10日に年度末を迎え、9日と10日の両日で約100校の高校で卒業式が行われる。学校区内での卒業関連行事は16日まで続く予定だが、移民の子どもが多く通う同学校区ではICEによる取り締まりを恐れて催しへの参加を躊躇する親たちの声が届いている。
カルバロ教育長は9日の会見で、生徒らは脅かされることなく教育を受ける権利があること、生徒の一人一人は移民ステータスに関係なく学校で無料の食事をとる権利があること、生徒はカウンセリングなどの支援を受ける権利があることなどを強調した。同学校区ではサマースクールが今月17日から7月16日まで実施される予定。
4月には、連邦捜査官が移民の捜査で同学校区の二ヶ所の小学校を訪れ、職員に追い返される事案が発生しており、カルバロ教育長は、今後も連邦捜査官が司法令状なしに学校や校外の学校行事(卒業式など)に立ち入ろうとした場合、学校警察の取り締まりの対象になる可能性を示唆した。
カルバロ教育長は、卒業式では、会場に入るための屋外の列は最小限にし、捜査官が屋外や近隣で家宅捜索を開始した場合、家族は必要なだけ屋内にとどまることができると説明。可能であれば、家族がオンラインで卒業式を見られるようなバーチャルなオプションを提供する。
カルバロ教育長によると、同学校区に子どもが通う6~7家族がICEなどによる家宅捜査や逮捕の影響を受けており、あるケースでは、生徒が父親とともに拘束され、ロサンゼルスからテキサスに移送されたという。