最近コンビニで一躍人気商品になった白湯(さゆ)。去年まではあまり見かけなかった。涼しくなる10月頃から爆発的に売れ出し、当初はセブンイレブンだけしか販売していなかったが、今や各コンビニのHOT飲料水で一番いい場所に置かれている。
白湯とは文字通りお湯なのだ。それが緑茶、爽健美茶。麦茶、烏龍茶など人気商品と肩を並べる勢い。購買層も幅広く、高齢者から赤ちゃんのミルク用、美容に気を使う若い女性まで世代を越えて支持されている。数年前は想像出来なかった現象。冬の飲料水界に突如大物新人が現れた感じ。
この現象、ミネラルウォーターが初めてコンビニに登場した時に似ている。おそらく「お金を出して水を買う」ようになったのは2000年前後ではないか。それ迄もミネラルウォーターは存在していたが、水商売の皆さんが水割りを作る時に使用するもので、水道水が安全な日本では一般的には普及していなかった。ペットボトルの登場も相まって、スポーツや盛り場のクラブシーンで人気となり、瞬く間に「お金を払って水を買う」がトレンドになった。今や甘味性の強いコーラ、コーヒー、ジュースを避けて健康的な白湯が注目されるのは当然なのか。
そう言えば、午前2時に毎日起き仙人のような生活をしている片岡鶴太郎さんも一年365日、起きて先ずは白湯を飲み、身体を整え始めると話していた。付き合いで飲み屋に行っても白湯らしい。トイレの近い私もドクターから膀胱を刺激するカフェインの入ったコーヒー、紅茶禁止令が出ているので、5年前から白湯を飲みだした。当初は味気ない気分だったが、今や一番落ち着く。
最近の日本人の健康志向は商店街にも波及し、マッサージ店が続々開店。指圧治療、整体院、足つぼマッサージ、手専門マッサージ、タイ式マッサージ、中には英国マッサージを名乗る店も。一体何をしてくれるのか行ってみたくなる。
ということで先日、今まで在った漬け物屋の後に店を構えた武蔵小山商店街の整体院を訪れた。内容は普通だったが、客層が幅広いのは面白かった。学校帰りのサッカー部員、会社帰りの女性、地元の商店主など多岐に渡る。昔なら下町商店街にマッサージ店は場違いな感じだったが、今は違和感無し。カフェが隣にあり、その横の店ではガラス越しに普通に治療を受けている。道路から人が見ていても気にしないどころか、逆に通行人が羨ましい顔で通り過ぎて行くのは妙な雰囲気だ。
日本の健康志向は留まる事を知らない。アルプスの空気や北極大陸の氷だとかが販売される日も近いかもしれない。いや、もう既に大手企業は始動しているはず。取り敢えず私は、白湯を常飲し週3日1日1万歩を目標に歩きます!
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。