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あべしんじ
けん玉先生
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ここ10年ほど日本、アメリカをはじめ世界中でブームを巻き起こしている「けん玉(KENDAMA)」。ロサンゼルスでも「ロサンゼルスけん玉クラブ」が2020年3月にスタートし、ローカルでけん玉カルチャーが盛り上がりをみせている。同クラブを発足し、けん玉の指導や普及活動に取り組んでいるのが、あべしんじさんだ。「けん玉先生」であり、サウスベイにある日本人学校・補習校で教師を務める。「ロサンゼルスけん玉クラブを立ち上げたのは、コロナ・パンデミックの時でした。外で遊べない、友達にも会えない状況の中で子供たちはものすごく不安を感じているだろうと。彼らに元気になってもらうにはどうしたらいいか考えた時に、『けん玉だ!』とひらめいたんです。その日にすぐけん玉のYouTubeチャンネルを開設しました」。
現在2週間に一回トーランスの公園で青空けん玉教室を開催。子供から大人まで、年齢・レベル関係なくわいわい賑やかにけん玉を楽しんでいる。「オンラインけん玉練習会も開いています。他州や日本から参加される方も多く、イギリスから一緒にけん玉をやりたいと参加する方も。けん玉で世界中の人たちと繋がっています」
穴のあいた玉にけん先をさしたり、大皿に玉を乗せたりして遊ぶ日本の伝統的な玩具であるけん玉は、約100年前に広島県で考案され製造されるようになったのが発祥といわれ、以来庶民に親しまれてきた。それが今から15年ほど前、アメリカ人のプロスキーヤーが来日しけん玉をするシーンをDVDに収録。それを観てけん玉にハマる人が続出、SNSの普及と共に世界的に大ブレイク。2014年からは、けん玉ワールドカップが毎年開催されている。
毎年ワールドカップに多くの選手を送り込むほか、アメリカの大会やイベントにも精力的に参加するなどけん玉にどっぷりと浸かるあべさん。自身とけん玉との出会いはほんの7年前。「地元福岡はこま遊びが盛んだったので、子供の頃はほとんどけん玉に触れたことがありませんでした。大人になってからは公立小学校の教師をしながら、プロの格闘家としてリングに上がっていました。2004年に渡米してからも格闘技を続けていたところ、大怪我を負い膝が曲がらなくなってしまったんです。そんな時、知り合った子がけん玉で大皿と中皿を行ったり来たりする技をしているのを見て、簡単そうだと自分もやろうとしたら、これが難しい!必死になって練習していたら膝のリハビリにもなるし、おまけに集中していると楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきました」。技を研究・分析するところも格闘技に似ていて夢中になっていったという。
「玉を落とさないためには、『今』に集中するしかない。その瞬間、他のちっぽけな悩みなんてどうでもよくなるんです。『今を楽しむ』そのことをけん玉を通して伝えていけたらと思っています」。
(10/17/2023)
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