ロサンゼルスを拠点にジャズピアニスト、指揮者、作曲家など幅広く音楽家として活動するアーク佐野さん。www.arksano.com
音楽家
アーク 佐野
Ark Sano
エルセグンドにあるコミュニティセンターの一室を覗いてみると、人種問わず、若者からシニア世代の人たちが集まって一緒に演奏をしている。
そこに、指揮棒を振るアーク佐野さんの姿がみえた。
「このオーケストラ『Symphony47』はロサンゼルスの音楽家ユニオンの有志が集まって設立した楽団で、毎週月曜日の昼にここで練習をしています。僕は秋にこの楽団の指揮者に就任したばかりなんです」
大リーグではエンゼルス・大谷翔平選手の二刀流ぶりが注目を集めているが、指揮者とジャズピアニストの二つを主な軸として佐野さんは、音楽における二刀流を追求する。
佐野さんがジャズピアノの魅力に出会ったのは高校卒業して間もなくのこと。
「地元岐阜のレストランでピアノを弾くアルバイトをしていたのですが、あまりにも下手で店長からもう来なくていいと言われたんです。僕が『お金はいらないから、ピアノを弾かせてください』と強くお願いしたら、バンドが始まる前なら弾いていいとのこと。そのバンドがジャズバンドでした。クラシックとはまったく違う、絶妙なジャズサウンド。どうしたらこんな音が出せるんだろうとショックを受けました」
ジャズを勉強するなら、やはり本場アメリカ。
80年代後半に渡米しボストンのバークリー音楽院のジャズ作曲科で学んだ。そこで作曲とピアノ漬けの日々を過ごし、卒業後の90年にLAに移った。
「しかし、この街でどうやって音楽で食べていくか・・・。新聞でセッションができる場所を見つけてピアノを弾いていた自分に『ピアノを弾かないか?』と声をかけてきたのがジャズバンド『BLACK/NOTE(ブラックノート)』でした」。
若手ミュージシャンたちによる『BLACK/NOTE』は波に乗り、数年でメジャーデビューしアルバム2枚を発表。
注目を集めたが5年ほどの活動の後に休止。佐野さんは独自で演奏活動を続行した。トリオを結成してアルバム制作や、LAローカルでのレギュラー出演、全米各地を演奏で回るなどアクティブに音楽活動を続けた。
2000年からは日米室内楽団の音楽監督・指揮も務める。
同楽団は、日米協会の2000年度資金パーティーのイベントで演奏することを目的に、協会メンバーの悦子・プライスさんの呼びかけによりLAで設立。
音楽を通じた日米交流をコンセプトに様々な演奏活動を行っている。
「音楽って、違う言語を話す人どうしでも、その素晴らしさを一緒に分かち合えるユニバーサルなランゲージ。ピアノを弾いていても指揮を振っていても、音楽をやっていると太陽の光のように感動のモーメントが見える時がある。その感動を多くの人々に届けていきたいですね」
まずは、Symphony 47でコンサートを実現したいと話す佐野さん。2020年、また新たな夢に向かって走り出す。
Symphony47の指揮者を務める佐野さん。毎週月曜日の昼にエルセグンドで練習を行う同楽団では、楽団員を募集
LAで2000年に設立。精力的に演奏活動を行う「日米室内楽団」。コンサートでは、日本の伝統曲やアメリカ音楽などを披露する。
www.jacemusic.org