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第九十五回
困っている人を助けます


台湾に息づく教育勅語の精神

教育勅語発布の背景には、明治維新後の教育現場の混乱がありました。欧米諸国に追いつかなければならないという思いから、欧米の教育モデルを取り入れたものの、いたずらに洋風を競うような状況となり、日本が古来大切にしてきた徳育が後回しになっていたのです。こうした状況にもっとも危惧されたのは明治天皇でした。

教育勅語の一説「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」は、日本統治時代の教育を受けた祖父母世代から日本語でよく聞いていた言葉だそうです。「非常事態が発生した場合は、私心を捨て、勇敢に公の心で尽くしましょう」という意味です。「もし日本以外の国が困っていたら台湾の皆さまはどうされますか」と、台湾人通訳の李久惟さんに尋ねると、即答で「助けます」とおっしゃいます。これまでもインドネシア、フィリピンをはじめ、対峙しているお隣りの大陸に対しても、四川の大地震(2008年)の際に多額な義捐金と救助支援をするなど、世界中で起きた様々な自然災害の支援活動をおこなってきたそうです。それは、日本から教わった「日本精神」であり、その精神で生きることは台湾の人々にとって誇らしい生き方だと伝わっているそうです。

教育勅語は、「朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ」で締められています。日本の君主だった明治天皇は、「まず私から実践し、手本を見せます」とおっしゃるのです。
明治天皇に限らず、日本のリーダー、教育者など、先に立つ者は皆同じ考えだったと思います。それは当時の台湾の人々にとっては衝撃的なことだったそうです。そのように言う君主はいまだかつていなかったからです。

実は明治時代に発布された帝国憲法の発布勅語にも、君主と民は「和衷共同し」「希望を同じくし」「負担を分かつ」とあり、民に何かを押しつけるのではなく、「共に」とおこないましょうとおっしゃっています。「君民一体(君主と民は一心同体である)」は、日本が建国の時から大切にしてきた統治のかたちなのです。

(10/8/2026)


筆者・森 日和

禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com

 

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