そんな声も聞こえてくる昨今のアメリカ。レストランはもちろん、カフェやテイクアウト店でもチップを求められる機会が増え、「チップ疲れ」という言葉が聞かれるほどです。
そんな中、ロサンゼルスの老舗デリに、なんとも粋な“チップ”が届きました。
送り主は、なんと遠く離れたテキサス州の常連客。その金額は、50ドルです。
「あの味とサービスを、もう一度ありがとう」
その舞台となったのは、ロサンゼルスの名物デリ、Langer’s Delicatessen-Restaurant。
1947年創業の老舗で、地元ロサンゼルスでは知らない人はいないほどの人気店です。特に有名なのが、看板メニューのパストラミサンドイッチ。
なかでも「No. 19」は、たっぷりのパストラミにスイスチーズ、コールスロー、ロシアンドレッシングを合わせた、Langer’sを代表する一品です。
今回のエピソードは、そんなLanger’sを訪れたテキサス州の客から始まりました。
食事とサービスを楽しんだものの、店を出た後になって「十分なチップを渡せなかった」と気になった客。そこで、わざわざテキサスから50ドルを郵送したのです。
「おいしかった」「ありがとう」。
その気持ちを、時間がたってからでもきちんと伝えようとしたわけです。
「チップ疲れ」の時代だからこそ、ちょっと心温まる
アメリカでは現在、チップをめぐる議論が盛んです。
レストランだけでなく、コーヒーショップやテイクアウトなど、これまでチップを求められることが少なかった場面でも決済画面に「20%」「25%」などの選択肢が表示されるようになりました。
アメリカ人はこうしている! 旅行中に迷わない「チップ」の払い方 20%・25%をそのまま払わなくてもOK?
「どこまで払えばいいの?」
「こんなところでもチップが必要なの?」
そんな戸惑いを感じる人が増えているのも事実です。
だからこそ、今回の50ドルにはちょっと違った意味があります。
画面に表示された選択肢を前にして仕方なく払ったチップではありません。その場を離れた後も「ありがとう」と伝えたいと思い、自分から郵送した50ドルなのです。
75年以上愛される「LAの味」
Langer’sが長年にわたって愛されてきた理由は、もちろんその味にもあります。
1947年の創業以来、家族経営を続けてきた同店。名物のパストラミは、柔らかく仕上げられた肉とライ麦パンとの組み合わせが特徴で、ロサンゼルスを代表するグルメとして知られています。
「No. 19」は、Langer’sを訪れたら一度は試したい定番メニュー。観光客だけでなく、地元の常連客からも長年愛されています。
そんな店だからこそ、「また食べたい」「ありがとう」と思わせる何かがあったのかもしれません。
50ドル以上に価値のある「ありがとう」
チップは本来、サービスへの感謝を伝えるもの。
もちろん、アメリカでは「チップをいくら払うべきか」をめぐって、今やさまざまな議論があります。
でも今回の50ドルは、そんな議論とは少し違うところにあります。
「おいしい食事をありがとう」
「素敵な時間をありがとう」
その気持ちを、わざわざ遠くテキサスから郵便で届けたのです。
チップ疲れが話題になる今だからこそ、なんだか心が温かくなるエピソードではないでしょうか。
LA旅行で訪れたくなる老舗
ロサンゼルスを訪れるなら、ハリウッドやビバリーヒルズだけでなく、こうした地元で長く愛されている店に足を運んでみるのもおすすめです。
Langer’sで名物のパストラミサンドイッチを味わえば、今回の50ドルのエピソードにも、ちょっと納得できるかもしれません。
チップをめぐる議論が続くアメリカで、遠く離れたテキサスから届いた50ドル。
それは「払わなければ」というチップではなく、「もう一度、ありがとうを伝えたい」という気持ちから生まれた、ちょっと粋なチップでした。