【ロサンゼルス11日】ロサンゼルス統一学区(LAUSD)では、2026–27年度の新学期から、学校での生徒のスクリーン利用を大幅に制限します。
これまで授業で活用されてきたChromebookやタブレットなどのデジタル機器について、学年に応じて利用時間を細かく設定します。
背景にあるのは、「教育のデジタル化が進みすぎているのではないか」という保護者や教育関係者からの声です。
LAUSDは、テクノロジーを完全に排除するのではなく、必要な場面に絞って利用することで、子どもたちがより集中して学べる環境を目指しています。
幼児~小学1年生は「スクリーンなし」
今回、最も大きく変わるのが低学年です。
幼児教育(Preschool)から小学1年生までは、学校でのスクリーン利用を原則禁止します。
つまり、これまで授業で使われていたタブレットやコンピューターなどを、低学年では基本的に使わない方針です。
その代わりに、紙の教材を使った学習、読書、筆記、先生やクラスメートとの対面での活動などを重視します。
学年が上がるほど利用時間を拡大
小学2年生以降は、スクリーンを完全に禁止するのではなく、利用時間に上限を設けます。
【2026–27年度の主なルール】
| 学年 |
スクリーン利用の目安 |
| Preschool~小学1年生 |
原則なし |
| 小学2~3年生 |
1日20分まで |
| 小学4~5年生 |
1日30分まで |
| 中学生 |
1教科あたり週1時間まで |
| 高校生 |
1教科あたり週1時間30分まで |
小学2~5年生については、宿題でのスクリーン利用も時間に含まれます。
中学生では、1教科につき週1時間まで、高校生では1教科につき週1時間30分までとする考え方です。
高校生の場合、スクリーン利用は週10時間を超えないようにする方針です。
YouTubeやSNSにも制限
今回の改革は、単純に「授業時間中のコンピューターを減らす」というだけではありません。
学区は、生徒が学校の端末からYouTubeやソーシャルメディアなどにアクセスすることも制限します。
授業で必要な場合には、教師が利用を認めることがありますが、教育目的ではない動画視聴やゲームなどについては、アクセスを制限する方向です。
「毎日コンピューターを持ち帰る」習慣も見直し
これまで多くの生徒が利用してきた学校支給のコンピューターについても、運用が変わります。
新しい方針では、生徒が学校のコンピューターを毎日自宅に持ち帰ることはなくなります。
学校で必要なときに使うという、より限定的な運用へと移行します。
なぜ、いま「スクリーンを減らす」のか?
新型コロナウイルスのパンデミック以降、学校教育ではコンピューターやタブレットの利用が急速に広がりました。
オンライン授業やデジタル教材が普及し、1人1台の端末を使うことも珍しくなくなりました。
しかし、その一方で、
- 紙に書いて学ぶ時間が減った
- 子ども同士の対面での交流が減った
- 授業中に動画やゲームなどへ注意が向いてしまう
- コンピューターに頼りすぎた授業になっている
といった懸念も出ていました。
今回のLAUSDの方針は、こうした「テクノロジーへの過度な依存」を見直す動きの一つです。
「テクノロジーをなくす」のではありません
ここで重要なのは、LAUSDがテクノロジーそのものを否定しているわけではないということです。
デジタル機器には、調べ学習や特定の教育アプリ、動画教材など、紙だけではできない学習を可能にするメリットがあります。
今回の考え方は、
「使わない」のではなく、「必要なときに、必要なだけ使う」
という方向です。
学区では、スクリーン利用時間を管理するための新しいソフトウェアも導入し、学校の端末で生徒がどの程度スクリーンを利用しているかを把握する予定です。
保護者にとって何が変わる?
今回のルール変更は、家庭にも影響します。
特に小学2年生以上では、宿題でのスクリーン利用も制限時間に含まれるため、これまでオンラインで行っていた宿題の量や方法が変わる可能性があります。
また、学校から毎日コンピューターを持ち帰らなくなることで、家庭での学習スタイルにも変化が出そうです。
一方、保護者からは「子どもが学校でどの程度スクリーンを使っているのか分かりやすくなる」と期待する声も考えられます。
School News|今回のポイント
① 低学年ほどスクリーンを減らします
Preschoolから小学1年生までは、学校でのスクリーン利用を原則なくします。
② 小学生は「時間制限」
小学2~3年生は1日20分、小学4~5年生は1日30分を上限とします。
③ 中高生も利用時間を管理
中学生は1教科あたり週1時間、高校生は1教科あたり週1時間30分が基本となります。
④ YouTubeやSNSも制限
学校支給端末からの娯楽目的のアクセスを制限します。
⑤ 紙と対面の学習を重視
デジタル機器だけに頼らず、読書、筆記、対話、協働学習などを重視します。
これからの学校教育は「デジタル」から「適切なデジタル」へ
今回のLAUSDの改革は、単なる「コンピューター禁止」ではありません。
むしろ問われているのは、
「学校でテクノロジーを、いつ、どのくらい、何のために使うべきなのか」
という問題です。
パンデミックをきっかけに急速に進んだ学校教育のデジタル化。
その次の段階として、LAUSDは「量」から「質」へと方向転換しようとしています。
新学期、教室からコンピューターの画面が少し減る一方で、ノートに文字を書く時間、先生の話を聞く時間、友達と顔を合わせて話す時間が増えることになります。
「スクリーンを減らすこと」が、子どもたちの学びを豊かにするのか。
LAUSDの新しい取り組みは、ロサンゼルスだけでなく、アメリカの学校教育にとっても大きな実験になりそうです。
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