こんにちは!私は現在、ロサンゼルスのトーランスエリアとオンラインで子供向けの日本語と英語の語学スクールTLC for Kids LA校を運営しています。広島大学の学校教育学部を卒業後、小学校教諭として公立学校の教育現場に勤めていたり、教育委員会の施設で不登校児童のメンタルケアや学習サポートを行ったりしていた経験もあります。現在アメリカでは1歳半~15歳の生徒さんや保護者の方と日々接しながら、のべ10年以上にわたる教育現場経験や2000人以上のお子さんと関わってきております。このコラムではご家庭でのバイリンガル育児のヒントや英語/日本語教育についてお届けしていきます。アメリカで子育てしている方々が、日々の子育てにおいて「これならできそう、ちょっとやってみよう」というアクションにつながればいいなと願っています。
VOL.11 アメリカに2~3年という期間限定で住む家庭の英語教育
アメリカに2~3年という期間限定で住むご家庭の英語教育についてお話ししていきます。まず、目標設定としては「一生使える英語力」を米国滞在中に子どもに身につけさせることです。そのためには「英語の読み書き」を集中的にサポートすることが重要です。英語の読み書きは
①フォニックス ②サイトワーズ ③フルエンシー
を丁寧に指導することでスムーズに身につけることができます。
❶フォニックスとは
フォニックスは日本語の五十音に該当します。アルファベット26文字の音を学ぶことから始めます。「A B C D E」を「ア ブ ク ドゥ エ」と文字の持つ「音」で教えます。フォニックスで大切なのは読み方だけでなく、書き方も習うことです。書く事によって文字はしっかりと定着します。
*ワードファミリーで学ぶ
この方法で26文字の「音」を覚えたら、次に韻を踏んだ短い単語の読み方を教えます。例えば「AT」で終わる三文字単語には「CAT」「FAT」「HAT」「MAT」「PAT」「RAT」「SAT」などがありますね。「AT」を「アット」とかたまりで読むように教えるとこれらの単語が簡単に読めてしまうのです。 *代表的な音韻を持つ単語群を英語で「ワードファミリー」と呼びます。このようにフォニックスを学ぶことで、知らない単語でも正しい発音で読めるようになります。
❷サイトワーズとは
フォニックスをマスターしてきたら次はサイトワーズを学びます。サイトワーズは単語を丸ごと読む方法です。フォニックスのように一文字ずつでなく、単語単位で読み方を学びます。また単語単位で発音を覚えていきますから、拾い読みを減らすことができます。
サイトワーズの弱点
しかし、サイトワーズには弱点があります。それは、知らない単語は読めないということです。日本語で置き換えると「漢字」のような位置付けです。書き取りをして新しい単語を覚え続けていかなければなりません。
日本語で五十音と漢字を覚えるように、英語ではフォニックスとサイトワーズの両方を覚えることが効率的&効果的です。どちらかが欠けてもスムーズに英語の読書力を身につけることはできません。子どもの年齢と英語レベルに応じて両者をバランスよく導入することが重要です。
❸フルエンシーとは
上記のうち、多くの子どもが苦労するのが「フルエンシー(スラスラ読む力)」です。フォニックスとサイトワーズを習得すると、単語単位では読めるようになります。しかし、単語と単語がつながって文章になると、途端に上手に読めなくなってしまうのです。よく起こるのが、文字や単語を一つずつたどって読む「拾い読み」や、単語やセンテンスを繰り返し読む「二度読み」「戻り読み」などです。英語の場合は、単語のかたまり、すなわちフレーズで読み取ることが必要となります。多くの日本人の子供は、英語を読むスピードがネイティブに比べて遅いです。読むスピードが遅いと、記憶に定着するまでに読んだ内容を忘れていきます。つまり、リーディングコンプリヘンション(読解力)が伴わないのです。
フルエンシーを鍛えるには
フルエンシー力を伸ばすために、単語を意味のかたまりで読む練習を行います。英語にも日本語と同じように意味のかたまりがあります。かたまりで読むとリズムと流暢さがアップします!リーダーズと呼ばれる子供の一人読みを助ける簡単な本を子供に与え、「自分で読めた!」という経験を育てていきましょう。子供の読書好きに繋がり、フルエンシーだけでなく、読解力も育てていくことが可能です。