アメリカ永住予定です。日本語はどのレベルまで必要ですか?|バイリンガル教育のノウハウ・竹井カヨコの子育てコラム

こんにちは!私は現在、ロサンゼルスのトーランスエリアとオンラインで子供向けの日本語と英語の語学スクールTLC for Kids LA校を運営しています。広島大学の学校教育学部を卒業後、小学校教諭として公立学校の教育現場に勤めていたり、教育委員会の施設で不登校児童のメンタルケアや学習サポートを行ったりしていた経験もあります。現在アメリカでは1歳半~15歳の生徒さんや保護者の方と日々接しながら、のべ10年以上にわたる教育現場経験や2000人以上のお子さんと関わってきております。このコラムではご家庭でのバイリンガル育児のヒントや英語/日本語教育についてお届けしていきます。アメリカで子育てしている方々が、日々の子育てにおいて「これならできそう、ちょっとやってみよう」というアクションにつながればいいなと願っています。

VOL.8 アメリカ永住予定です。日本語はどのレベルまで必要ですか?

 アメリカに住んでいると、子供の日本語をどのレベルまで到達させてあげればいいのか悩むことはありませんか?母親の母語(母親が一番自然に使える言葉)が日本語ならば、母親は子どもには日本語で接してあげることが原則です。母親の言葉を子どもに継承するプロセスは、子どもの言葉の発達だけでなく、文化、アイデンティティや人間形成にも大きく関わっています。母語が未発達のまま学齢期を迎えると、学習英語力の習得で苦労をする子どもが多いので注意しましょう。


 永住予定や国際カップルのご家庭のお子さんの場合、習得目標とするレベルは日本の小学校3~4年の読み書きのレベルです。3~4年生のレベルの読み書きができるようになれば、子どもは読書を通して自分の力で日本語力を伸ばしていくことができます。日本語の読み書きを始めるタイミングとしては、子供が現地校に通い始める前の5歳までに始めることができればベストです。子どもが現地の小学校に通い始めると、英語の宿題や課題をこなすことで精一杯になります。できるだけ年齢が小さいうちに日本語の土台作りをしておくとよいでしょう。すでに小学生以上のお子さんには、日本語のマンガやアニメ、アイドルなどを活用して日本語への興味を引き出す働きかけを行うとよいでしょう。

■家庭でどうやって日本語を教えればよい?

 日本語の音声教材や動画教材、オンライン教材を活用しましょう。子ども向けのメディアを活用してください。子供が小さいうちは動画やオンライン等のスクリーンタイムを制限していらっしゃるご家庭もあると思います。その場合は音楽(童謡、手遊び歌など)のかけ流しを中心に環境作りをしてください。子どもは環境にある情報を獲得できる優れた能力を持っていますので、活用しましょう。もちろん母語が日本語のご家庭は積極的に日本語で話しかけるようにしましょう。また、家庭内にひらがなポスター等を子供の目線の高さに貼り、無意識のうちに日本語の文字が目に入る環境を作ることが大切です。

■子どもはアメリカ生まれで英語もペラペラですが日本語学習は必要ですか?

 アメリカ生まれで英語がペラペラでも、母親の母語(母親が一番自然に使える言葉)が日本語ならば、子どもには日本語で接するのが原則です。言葉の力には「生活言語力」と「学習言語力」があります。生活言語力は、プリスクールや幼稚園に通えば、どの子も自然と身につけることができます。一方、読書(音読)力、読解力、作文力、思考力などの「学習言語力」は教わらなければ身につくことはありません。「学習言語力」を獲得するには、5年〜10年という期間が必要です。TLC for Kidsでは学習言語力を中心に指導します。子どもに高い学力を与えたければ、会話力だけでなく、学習言語力をいかに身につけさせるかが重要となります。

■家庭内で教えることが難しいのですが何かいい方法はありますか?

 家庭では、日本語の学習習慣作りをすることが大切です。ポイントは“環境と習慣作り”を行うことです。特に「絵本の読み聞かせ」は子どもの「聞く力」と「言葉」を育てる有効な取り組みです。毎日寝る前、お風呂上がりなど、ルーティンを決めて絵本の読み聞かせを行いましょう。TLC for Kidsにも子供の興味をくすぐる絵本や児童書をたくさん取り揃えています。また、5分、10分とお母さんのお話を集中して聞けるようになると、日常生活でも落ち着いて行動できるようになるなど、日本語の習得だけでなく、情緒が育つ、落ち着いた振る舞いができるようになるなどの相乗効果を得られることができます。
 アメリカで子育てをしていると、子供の日本語、英語の習得について色々と考える機会がありますね。お子様を優秀なバイリンガルに育てるには、言語育成プランを明確に持つことが極めて大切です。TLC for Kidsの体験レッスンにご参加いただければ、カウンセラーがお子様に合ったアドバイスをいたします。お気軽にお問い合わせください。このコラムがあなたの日々の子育てのちょっとしたヒントやアクションに繋がることを願っています。

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