こんにちは!私は現在、ロサンゼルスのトーランスエリアとオンラインで 子供向けの日本語と英語の語学スクールTLC for Kids LA校を運営しています。 広島大学の学校教育学部を卒業後、小学校教諭として公立学校の教育現場に勤めていたり、 教育委員会の施設で不登校児童のメンタルケアや学習サポートを行ったりしていた経験もあります。 現在アメリカでは1歳半~15歳の生徒さんや保護者の方と日々接しながら、 のべ10年以上にわたる教育現場経験や2000人以上のお子さんと関わってきております。 このコラムではご家庭でのバイリンガル育児のヒントや英語/日本語教育についてお届けしていきます。 アメリカで子育てしている方々が、日々の子育てにおいて「これならできそう、ちょっとやってみよう」 というアクションにつながればいいなと願っています。
VOL.5 国際結婚家庭のバイリンガル教育
■バイリンガル教育とグローバル・アイデンティティ
国際結婚家庭で育つ子どもは、自然とバイリンガルになると思われがちですが、異なる文化と価値観が共存する中で、二つの言葉をバランス良く育てることは実際には難しいことです。
両親の言葉を身につけることは、子どもの精神や知的発達だけでなく、人間形成にも重要な影響を与えます。二つの言葉と文化が程よくブレンドされた豊かな家庭環境で育つことによって、子どもは両親それぞれの文化と価値観を混合した独特のグローバル・アイデンティティを形成していきます。
グローバル・アイデンティティを確立した子どもは、双方の文化・民族に対する誇りを持っており、アイデンティティ問題が複雑化することはありません。また、国際児である自分を肯定的にとらえ、自分の特性をより有効活用できるように育ちます。
バイリンガル育児は親子に大きな負担がありますが、長い目で子どもの成長を考えた場合、プラスの影響の方がはるかに大きいです。高度な言語力、異文化適応能力、コミュニケーション能力、そして国際児だけが持つ独特の世界観はこれからの時代に欠かせない人的資産です。両親が「子どものアイデンティティをポジティブな特性として活かしてあげたい」と望むのであれば、就学前のバイリンガル教育は必須と言えます。
■就学前のバイリンガル教育
特に、母親が日本人で、父親がアメリカ人の家庭では、バイリンガル教育に夫婦で協力することが大切です。一親一言語の原則に従い、母親は日本語、父親は英語で話しかけることで、子どもは両言語を自然に身につけることができます。たとえ母親が英語が流暢であっても、父親が日本語が流暢であっても、このルールを守ることが重要です。二つの言語で話しかけても心配はいりません。両親が豊かに話しかけていれば、子どもは自然に二つの言語を区別して理解します。
特に0歳から6歳までの間は、言語習得の最適期です。この時期に、たくさんの日本語と英語のインプットを提供することで、子どもは6歳になる頃には高度なバイリンガルに育ちます。
子どもと一緒にいる時は、ひっきりなしに言葉をかけるように意識してください。赤ちゃんに何を話していいのか分からないという方は、実況中継をしてみてください。例えば、食事の時には「おいしいご飯と温かいお味噌汁をたくさん食べようね。」お風呂の時には「足とおしりを石けんでピカピカにするよ。」という要領です。
絵本の読み聞かせも、日本語と英語の両方で行うことで、子どもの言語力と文化理解が深まります。絵本は、言葉を豊かにするだけでなく、文化アイデンティティの形成にも役立ちます。
■就学後のバイリンガル教育
5歳になると、現地校に通い始めるため英語が優勢になり、日本語が停滞することがあります。この時期には、母親が日本語で一貫して話しかけ続けることが重要です。例えば、子どもが英語で返答しても、日本語で優しく応じることで、自然に日本語を使う機会を増やすことができます。また、週末には家族で日本のアニメや映画を楽しんだり、日本の料理を一緒に作るなど、日常の中で日本語と文化に触れる機会を増やすことも良いでしょう。こうした小さな積み重ねが、子どものバイリンガル教育に大きな効果をもたらします。
世界中のどこに住んでいても、両親の言葉を子どもに継承することは大切です。日本に住んでいればあまり意識しないかもしれませんが、海外では「母語の継承」はとても重要な課題です。両親の言葉を継承できる期間はだいたい6歳までと言われています。もちろん、6歳を過ぎても不可能ではありませんが、言語習得にはより多くの努力と時間が必要です。
アメリカで子育てをしていると、子供の日本語、英語の習得について色々と考える機会がありますね。
バイリンガル子育てのお悩み、ご相談はTLC for Kidsまでご連絡ください。TLC for Kidsの体験レッスンにご参加いただければ、カウンセラーがお子様に合ったアドバイスをいたします。このコラムがあなたの日々の子育てのちょっとしたヒントやアクションに繋がることを願っています。