大きく差がつく夏休みの過ごし方｜バイリンガル教育のノウハウ・竹井カヨコの子育てコラム

こんにちは！私は現在、ロサンゼルスのトーランスエリアとオンラインで 子供向けの日本語と英語の語学スクールTLC for Kids LA校を運営しています。 広島大学の学校教育学部を卒業後、小学校教諭として公立学校の教育現場に勤めていたり、 教育委員会の施設で不登校児童のメンタルケアや学習サポートを行ったりしていた経験もあります。 現在アメリカでは1歳半～15歳の生徒さんや保護者の方と日々接しながら、 のべ10年以上にわたる教育現場経験や2000人以上のお子さんと関わってきております。 このコラムではご家庭でのバイリンガル育児のヒントや英語/日本語教育についてお届けしていきます。 アメリカで子育てしている方々が、日々の子育てにおいて「これならできそう、ちょっとやってみよう」 というアクションにつながればいいなと願っています。

VOL.4 大きく差がつく夏休みの過ごし方

もうすぐ夏休みですね。アメリカの学校では約2ヶ月も休みがあり、宿題もありません。そのため子供達の間で「サマースライド」という現象が起きることで知られています。「サマースライド」とは、夏休み中に生徒が学習したことを忘れてしまう現象です。特に低所得家庭の子どもたちが大きな影響を受けやすく、英語を第二言語として学ぶ子どもたち（ESL:English Second Language 学習者）も大きな学習損失を経験することがあります。このような学習の後退を防ぐためには、夏休み中も子どもたちの英語学習を支援することが重要です。

■カリフォルニアはESL学習者への対策が充実

　移民の多いカリフォルニア州では、夏休み中も英語の環境に触れさせることができるESL学習者向けのプログラムがあります。安価、もしくは無料でESLの子どもたちに適した学習プログラムや資源が提供されています。例えば、小学校や図書館、コミュニティセンターで開催される言語クラスなどです。ただし、そこに集まる多くの子どもが母語（日本語）で話すため、結果的にあまり英語のスキルが伸びなかったということがあります。また場当たり的な指導で、子供の実態にあっていなかったということもありますので、安いからといってプログラムを選ぶことのないように注意しましょう。プログラムの具体的な内容や去年の内容などを問い合わせてから決めるのもお勧めです。

　

■親の役割

　親としてできることは、夏の間も子どもが学び続けるためのサポートをすることが重要です。具体的に以下の４つを例に挙げます。

①読書の促進:子どもが興味を持つ本を選び、定期的に読書をする習慣をつけさせましょう。地元の図書館を活用して、子どもが選んだ本を手に入れることができます。図書館は無料で利用できる資源が豊富にあり、夏のプログラムやワークショップも提供している場合が多いです。これらを利用することで、子どもの読書や学習を促進することができます。

②自然の中での学習：子供が楽しいと感じるようなアクティビティを提供することも大切です。外で遊ぶことも学びの一部です。家族でハイキングをしたり、地元の植物や動物を調べるなど、自然と触れ合いながら学ぶ機会は学習の一環として取り入れることができます。アメリカ国立公園ではJunior Rangerという子供向けプログラムがあります。Junior Ranger Activity Bookという冊子を通じて、自然や環境保護について学習し、参加した子供たちはジュニアレンジャーバッチが貰えるのです。このようなプログラムを活用するのもお勧めです。

③学習目標の設定:夏休みを利用して、子ども自身が学びたいテーマを決めさせ、プロジェクトや目標を設定しましょう。これにより、子どもは自分の興味や能力に合った学習を楽しむことができます。夏の間、毎日または毎週、子どもが取り組む学習活動の計画を立て、それを達成するたびにごほうびを設定することで、モチベーションを維持することができます。

④夏季キャンプやクラス：教育的なサマーキャンプやクラスに参加させることで、子どもたちは新しい技能を学び、同時に社交的なスキルも磨くことができます。これらの活動を通じて、子どもたちは新しい知識を得ながら、夏休みの間も学習を続けることができます。

　親が積極的に関与し、学習の継続を支援することが、サマースライドを防ぎ、子どもたちが新学期を迎える際にスムーズに適応する助けとなります。子どもたちが学びを楽しみながら、次の学年に向けてしっかりと準備できるようサポートしていきましょう。TLC for Kidsでも、旧学年の総復習や新学年の準備となるようなアカデミックなサマープログラムを開催しています。興味のある方はお問合せくださいね。