ひとり芝居で表現する 日本の伝統や所作の美しさ

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鈴村圭子 
Kay Suzumura

女優

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「日本の伝統や所作の美しさをアメリカに伝えたい、という思いからこの企画は始まったんです」と話すのは、11月17日(日)に自身にとってアメリカで初の舞台作品を上演する鈴村圭子さん。作品は日本の古典『竹取物語(かぐや姫)』をモチーフにして作ったストーリーを自らが全編英語の脚本にし、ひとり芝居で演じる。「私が子供の頃に絵本で読んだ『かぐや姫』は、憧れるおとぎ話でした。しかし、あらためて文献などを調べたら、人間の業や欲の深さ、まごころにも触れた部分がお話にあったんです。人の醜さや愛を深く掘りさげたストーリーにしたいと思いました」

 舞台会場は、グレンデール市にある茶室「松聲庵(しょうせいあん)」。日本家屋の美しい佇まい、木や畳の香り、秋の風情に包まれた空間すべてが舞台と化す。上演前には、江戸千家の抹茶と京都からお取り寄せの和菓子が振舞われ、それらを楽しみながら箏の演奏とともに舞台の幕が開け、かぐや姫の世界にいざなわれる。目と耳、味覚、香り、肌感といった五感で堪能できる演出となっている。

「演じる部分でこだわっているのは、かぐや姫のキャラクターです。かぐや姫は人間ではなく、いわゆるお月様に帰っていく宇宙人なので、人間ではない何か…異次元の世界だけどリアルな部分もあることを表現できたら。そこがチャレンジであり楽しいところですね」

 アメリカでは初舞台となるが、日本では2000年初めに舞台の世界に入った。友人に誘われ観に行った舞台の会場でオーディションのチラシを見て応募。合格し、地元名古屋にあった劇作家、北村想氏の劇団で研究生として下積みから鍛えられた。上京して2004年には舞台作品『トリガー』(山田裕幸 作・演出)では準主役を務め新人戯曲賞を受賞。女優、鈴村圭子として注目を集めた。2005年には、世界的に知られる巨匠、鈴木忠志氏による劇作品『カチカチ山』に出演。その後、ヒーローズのヒロ役、俳優マシ・オカさんとの出会いがあり、これが大きな転機となって渡米した。

 鈴村さんには、演じることをライフワークとする一方で、もうひとつ目標がある。「日本は几帳面で勤勉、秩序正しいところが素晴らしく、魅力でもあります。しかし、私はその反面、人を決めつけて判断するジャッジメンタルな厳しさを感じることも。私自身がそんな日本で生きづらいなと感じたり、辛い思いをしたことがありました。きちんとした日本にいるからこそ、きちんとしなければとか、きちんとできない自分を責めたり心を病んだりすることもある。そんな思いをしている人たちに、アメリカから演じることを通して、もっと自由に楽しいことを選んで生きる喜びを日本に届けていきたいと思っています」。

11/17(日)、自身にとってアメリカで初の舞台作品で、ひとり芝居を上演する鈴村圭子さん。日本の古典『竹取物語(かぐや姫)』をモチーフにして作ったストーリーを自らが全編英語の脚本にして制作。
https://www.instagram.com/kaysuzumura

舞台『かぐや姫  天からの贈り物』 日時:11/17(日)2pm
会場:The Shoseian Teahouse(1601 West Mountain Street, Glendale CA 91201) 参加費:無料

(10/23/2024)

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