大統領選 各党の支持者が熱い

 11月のアメリカ大統領選挙に向けて民主党ハリス副大統領と共和党トランプ前大統領の争いがいよいよ佳境に入ってゆく。CNNを見ると、両陣営の集会では多くの支持者が候補者の後方にひな壇形式に並んで演説を聞いている。全米各地で支持者が期待を込めて候補者の後ろ姿に熱い眼差しを送る情景は大統領選の風物詩といえる。トランプ前大統領狙撃事件が起こった際にトランプ氏が流血したまま立ち上がり右手拳を突き上げる姿がTVに映し出された。その時、多くの支持者は逃げる素振りを見せず、歓喜の表情と歓声をあげていたことは記憶に新しい。

 私は日本でこんな想いで見ていた。全世界に放送される民主党、共和党集会に集まる支持者の顔を見ていると生活背景が目に浮かんでくる。白人、黒人、ヒスパニック系、アジア系などそれぞれの皆さんが抱える夢や悩みは立場によって違うが、皆アメリカの未来を信じ明日に向かって会に参加している。楽しそうな表情もあれば怒りの姿もある。アメリカの大統領選は熱い。

 それに引き替え日本の政治家が大衆、支持者を後方に背負って演説している姿は見た事が無い。先の都知事選でも街頭演説はあっても選挙カーの上から訴えるだけ。安部元総理の暗殺事件もあり、警察からの要請を受け、後方から襲撃されないよう街頭演説の場所は建物を背にすることが多い。危険リスクがある街中では無理かもしれないが、どんな人々が各党を応援しているのか顔が見たい。次回の衆院選では各党の集会で政治家の後方に支持者を是非集結させて欲しい。

 自民党、立憲民主党の婦人会はもとより、日本維新の会は支持層が多い大阪在住の方に来てもらう。公明党には創価学会の皆さん、日本共産党は赤旗新聞関係者、若者層に人気の国民民主党は20代を動員。TVを見ている人に各党の支持層が視覚でも分かるため大変興味深い。生活の中で何を求めているか、子育て、社会保障、年金、物価高など、立場や環境の違いも見えてくる。7月の都知事選で行なわれていた、候補者の声をかき消す誹謗中傷のヤジや、自宅まで押しかける嫌がらせ、NHK政見放送での品格のないパフォーマンス、限度を超えたハレンチ選挙ポスターを見せられるよりいい。パリオリンピックでの選手に向けたネットでの誹謗中傷が問題になっているが、政治も裏で文句を言うのではなく、顔を出して応援する方が気持ちが伝わるはず。

 改めて日本側からアメリカ大統領選を見ると、日本への防衛予算の更なる要求や、ロシア侵攻で苦しむウクライナに多大な援助をしているにも拘らずロシア有利の大甘休戦条件を視野に入れているトランプ氏に大統領になってもらうのはどうかと思うのだが。

 

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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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