VOL.5
キットガレージで実現した趣味の空間
夢のハーレーライフを楽しむ拠点として建築された
片流れの構造を活かした2層の部屋付きガレージ
自由設計、現場施工のオーダーメイド・ガレージと違って、キットガレージの利点は展示されているモデルガレージと同じものが手に入ることだ。規格化されたガレージは、敷地に合わせてあらためて図面を引くこともないから納期も早い。
長野県富士見町にあるキットガレージの最大手「グリーンベル」の展示場には、そのモデルケースとなるガレージの実物が建築されている。A.I.さんが建築したガレージもまた、同社敷地内に同じモデルが建築されている「G10」だ。
ガレージのオーナー:
A.I.
仕事中心の生活から、仕事も趣味も堪能する生活へとライフスタイルを変えたというA.I.さん。長年の憧れだったハーレーダビッドソンを手に入れ、ライフスタイルを大きく変えたのと同時に、愛車の格納先として建築したのが「グリーンベル」製のガレージだ。
キットガレージという言葉の語感は、時に誤解を与えてしまう場合もある。小さくコンパクトなガレージを想像させてしまうからだ。しかしながら、実際には複数の車両を余裕で格納させてしまうようなサイズの大きいモデルも用意されている。また、セルフビルドに対応しているモデルであっても建築・施工を依頼することもできるし、間取りやサイズ、細かな部材や開口の位置変更などにも対応できるケースも少なくない。長野県茅野市に独立型ガレージを建築したA.I.さんもまた、キット化されたモデルを上手に使って夢の空間を手に入れたガレージオーナーのひとりだ。 市内で事業を営むオーナーは若い頃に独立起業。ひたむきに仕事へと打ち込んできた。昨年、そんな仕事中心の人生を転換する大きな出来事があった。子供が成長して手がかからなくなったことをきっかけに、長年憧れてきた趣味の世界へと足を踏み入れたのである。
ひたすらまっすぐな道を心地よい排気音を残しながら走るハーレーダビッドソン。夢はそんなオートバイを手に入れて、日本中を旅することだった。それまで2輪の免許すら所有してこなかったA.I.さんは一念発起。毎日のように教習所へ通い、短期間で免許を取得。同時に2019年式のソフテイル・デラックスを手に入れたのである。
こうして手に入れた念願のハーレーダビッドソンは、当初自宅のカーポートで保管していたそうだが、どうしても雨風が吹き込むことから、程なくガレージの建築も決意。取引先のひとつであったキットガレージの最大手「グリーンベル」へ依頼して完成したのが、同社製キットモデル「G10」をベースにした、ご覧のガレージである。
格納する車両台数や間取り・仕様などにあわせてさまざまなキットガレージを用意する「グリーンベル」だが、今回飯田さんが選んだ「G10」は一方向から傾斜をつけた「片流れ」になっているのが大きな特徴。中央部が高くなる「切妻」と違い、「片流れ」の屋根は躯体の片側を高くすることができるため、ガレージスペースに影響を与えずに内部を複層化するのに適している。A.I.さんはガレージの一部を仕事場の倉庫として使用したいという考えがあったため、車両の格納スペースとは別に2層の部屋をガレージ内に設置できる「G10」を選んだのだ。
昨年完成したガレージには、現在2台のハーレーダビッドソンとメルセデスベンツ350dが格納されている。アメリカのロードサインなどもディスプレイし、週末に堪能するハーレーライフの拠点として早速活用。
ガレージからスタートし、石川県までのロングツーリングも楽しんだ。次は京都まで走ることも計画している。そんなツーリング・プランを練るのもまた、ガレージの中での楽しみのひとつだ。
PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto 秋元一利
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