趣味を満喫するために建築したウィークエンド・ガレージハウス|Calマガジン-GARAGE Examples- VOL.3

VOL.3 
USヴィンテージを愛するご夫婦のコレクションが並ぶ
趣味を満喫するために建築した
ウイークエンド・ガレージハウス

1階のガレージにはご主人のガレージサイン、2階の生活空間には奥様のミルクガラス。
千葉県・南房総エリアに建築された三善邸は、ご夫婦自慢のアメリカン・ヴィンテージがずらりと並び、その壮観なコレクションに誰もが惹かれる。まさにマニア羨望のお宝が美しくディスプレイされた、趣味の巣窟であった。

南面に大きなテラスを設けた三善邸。カバードポーチのように張り出した軒が、外観上のポイントになっている。直射日光を上手に遮りながらも、採光と風通しを確保。上下階共に雨の吹き込みも抑止する。ガレージドアはアルミパネル製のオーバースライドタイプ。

ガレージのオーナー:
Kouji Miyoshi
Yuko Miyoshi

都心にも近い神奈川県東部のターミナル駅でマンション住まいをされている三善さんご夫婦。2017年に千葉県・南房総エリアに建築したガレージハウスは、お二人が長年に亘って収集してきたアメリカン・ヴィンテージ・コレクションを一堂に集めた夢の空間。週末はこの場所で、のんびりとした2拠点生活を楽しんでいる。

アメリカンのヴィンテージ・コレクションは奥が深く、そして幅も広い。その懐の広さをあらためて感じさせられるのが、どんな地方都市へ行っても必ずあるアンティークモールの数々だ。大抵は大きな倉庫をブースで区切った建物の中に個人の出品物がディスプレイされており、好みの商品があればピックアップしてレジで精算するという販売型式になっている。商品は瓶や缶などのポピュラーなものから建具の金物や生卵の紙製ケースといったマニアックなものまで多種多様だが、中でも特に人気が高いのが看板や食器類だ。

交通標識からブランド名の入ったものまで、アメリカでは看板だけを集めるコレクターも珍しくなく、直径2メートル以上ある大きな看板も普通に流通している。高価なものは100万円以上することもあり、ガレージのディスプレイなどに使用されている。一方で食器類はなんといってもミルクガラスが王道。「パイレックス」や「ファイヤーキング」など、日本でも馴染みの深いコレクションは、アメリカでもファンの多い人気のアイテムだ。

W124型のメルセデスベンツ・E320とドゥカティ・スクランブラーの組み合わせ。ラップサイディングの外壁やカバードポーチのようなテラスを設けたアメリカンスタイルの外観とは異なり、ガレージの主役はヨーロッパ車だ。

左右の壁沿いに合計8ヶ所の耐力壁を加えて、階上の重量を支える構造としたガレージ。広々とした空間は、こうした細かな設計の工夫で実現されている。
ガレージの東側には2階の生活空間へと通じる内階段やゲストルームに通じる通路が設けられている。どこにいてもガレージに目が自然といくような開放感のある間取りだ。

神奈川県東部に自宅を構える三善さんご夫婦は、二人揃ってそんなアメリカン・ヴィンテージをこよなく愛するコレクターとして、“その筋”ではよく知られた存在。この手の趣味は、夫婦のどちらか一方がコレクターとしてどっぷりと趣味の世界にハマり、もう一方は傍観しているというケースが多い。その点、夫婦揃って同じ方向の趣味を堪能しているというのは、かなり稀なケースともいえるだろう。

三善さんご夫婦の場合は2017年に建築した南房総のウイークエンド・ガレージハウスに、その貴重なアイテムをずらりと収納。そこには、ガレージだけでなくご自宅の中まで“マニア垂涎の的”ともいえるお宝コレクションがぎっしりと収まっており、まさに趣味の巣窟ともいえる世界が広がっている。

2階のキッチンは奥様の趣味が如実に反映されている。アイランドスタイルのカウンターはジェードやターコイズのカラーで統一したミルクガラスのオンパレード。貴重なコレクションの中でもレストランウエアと呼ばれる業務用のシリーズなどを中心に、しっかりと日常使いしている。
リビングと一体になっているのはテラス部分。屋外用のガーデンソファを配置して、アウトリビング的な場所としている。
かつてのアメリカでは消費者サービスの景品などノベルティとしても人気の高かったミルクガラス。「ファイヤーキング」は特に人気が高く、企業のロゴが入ったマグカップは“ADマグ”と呼ばれ、日本でもコレクターが多い。三善邸では棚ごとに企業やブランドをカテゴライズしており、下段は女性に人気のキャラクター系やファストフード、上段になるにつれてご主人の好きそうな自動車系の企業モノになっている。自動車メーカーの「Ford」のADマグが3つも揃っているのは、ある意味奇跡に近い。
洋室と和室に加え、トイレまで備えたゲストルーム。ガレージの奥にあるため採光が得にくい場所だったが、ご夫婦の生活空間からは距離があるため、互いに気兼ねなく滞在できる場所になっている。

PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto  秋元一利

株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
カリフォルニア好きのバイブルとなっている!

Website: www.calog.net
Instagram: cal_magazine

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