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VOL.6
スクエアなファサードが特徴的
北陸・福井のガレージ専門店が手がけた
和モダンで仕上げた“俺のガレージ”
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直線を基調としたスクエアなファサードが特徴的な「俺のガレージ」のモデルガーレージ。
軒を出して雪や雨の吹き込みを抑えるなど、雪深い北陸ならではの工夫が各所に施されている。
「俺のガレージ」は福井県福井市でガレージ建築を手がける東京企画代表の木下さんが生み出したブランド名。アメリカンスタイルのガレージが多い中、提案したいのは日本の環境にマッチした“和モダン”なガレージだという。
事務所を兼ねたモデルガレージは軒を張り出した独特なスタイルなど、雨・風・雪の吹き込みを抑えるよう、デザインだけでなく使い勝手にも配慮されたガレージだ。
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ガレージのオーナー:
Tomonari Kinoshita
福井県福井市でガレージ専門店を営む木下さん。長らく不動産業に携わってきたが、3年前に独立起業。福井エリアにはガレージを専門にするビルダーが少なかったこともあり、「だったら俺がガレージを」という意気込みで開業。「俺のガレージ」というブランドを立ち上げて、日本の風土に適した個性あふれるガレージ建築をスタートさせた。写真はそのモデルルームを兼ねた、木下さん自身の「俺のガレージ」だ。
冬季は雪と共に暮らすことがあたりまえの北陸エリア。近年は暖冬で雪が少なくなってきているとはいえ、福井県福井市も例外ではなく、平均積雪量はピークシーズンには1メートルを超えるという。ところが、意外にもガレージを所有しているオーナーは少なく、納屋や物置、カーポートなどにお気に入りのクルマを停めているケースが多いそうだ。
福井市で長年住宅関連の仕事に従事してきた木下さんは、そんな環境を憂慮し、大切なオートバイやクルマをちゃんと格納できるガレージをプロデュースする建築会社を起業、2018年より「俺のガレージ」というブランドで事業展開を始めたばかりだ。
福井市の郊外にあるモデルガレージは、会社の事務所であると同時に木下さん自身が趣味を楽しむための拠点として建築されたもの。「日本の風土にあった快適なガレージを作りたい」という思いから“和モダン”をイメージし、スクエアなデザインを基調としたシックな色使いでまとめている。
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切り妻や寄せ棟、片流れなどの屋根構造が主流のガレージだが、木下さんの提案はスクエアな平屋根。日本家屋の隣に建築しても違和感の少ない“和モダン”なデザインが特徴的だ。
躯体は木造軸組工法で建築。2台のクルマが格納できる広々としたガレージは、片側に板張りの小上がりを設けてリビングスペースとし、ソファや収納棚を設置。クルマ1台分のスペースはしっかりと残しながらも、残りのスペースはオートバイのメンテナンス・スペースとし、とめる・くつろぐ・いじるという3つにテーマを分けて、それぞれのスペースを役割分担させている。
ガレージの中央には耐力壁を兼ねる柱が数本立つが、「柱がガレージの中でうまく機能するように考えています。モデルガレージでは視界を妨げないように配慮し、建物の前後端に柱を配置することで中央を通路として確保するなど、使い勝手を考えながらも、豪雪地帯でも耐えられるような設計としました」という。
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壁面の柱と柱の間に棚板を加え、収納スペースとした壁面。
ディスプレイにちょうどいいスペースになっている。
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片側のスペースは2000年式ロイヤルエンフィールドの格納スペースと、レストレーション中の
ヤマハ・セローの組み立てに使用している作業スペース。
奥側は板張りの小上がりになっており、寛ぎのスペースとして活用されている。
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小屋組や躯体などを現し仕上げとした木下さんのモデルガレージ。壁面は構造材の配置を上手に活かして棚として活用するなど、スペース効率のいいガレージだ。
普段は2000年式のロイヤルエンフィールドとヤマハ・セローを格納しているというこのガレージは、シャッターを開けておくと目の前を行き交うクルマのドライバーたちが興味深そうに次々と視線を送ってくる。その完成度の高さはどうやら本物のようだ。
「今後はガレージ付きの賃貸アパートや分譲も手がけたい」と意気込む木下さん。福井エリアでガレージ建築を計画しているなら、一度木下さんの「俺のガレージ」を訪れて、相談してみるのもいいだろう。
PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto 秋元一利
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