IRSが見つけた「オオタニ」の名前 水原氏の窃盗疑惑 ドジャース大谷選手の今後は(4/1)

【ロサンゼルス1日】地元紙ロサンゼルス・タイムズは3月20日「ショーヘイの通訳兼アシスタント、窃盗容疑で訴追(Ohtani assistant accused of theft)」と報道した。大谷翔平選手の元通訳であった水原一平氏は、違法賭博疑惑によってドジャースに解雇された。

 今回のスキャンダルは、賭博の元締めであるマッシュ・ボイヤー氏の違法賭博を捜索していたIRS(内国歳入庁)が「オオタニ」の名前を見つけ、FBI、カリフォルニア州司法当局、MLBに通報し、その情報を得たスポーツ専門局ESPINがその件を水原氏にぶつけたところから始まった。ボイヤー氏とは違法ブックメーカー(欧米における賭け屋)を運営する人物で、水原氏
とは2021年にサンディエゴで知り合ったとされている。

 当初、取材に答えた水原氏は「大谷に借金を肩代わりしてもらった。2人でパソコンを開き、口座にログインして50万ドル(約7500万円)を8、9回送金した」と証言していたが、その後、水原氏はこの発言を撤回。「わたしが嘘をついた。大谷は何も知らなかった」と発言を変えた。3月25日に会見を開いた大谷選手は、野球賭博、スポーツ賭博への関与を否定し、ブックメー
カーへの送金を依頼したことなど一切ないと発言したうえで「水原氏に嘘をつかれていた。勝手に口座にアクセスされてお金を盗まれた」と語った。

 しかし大谷選手は質疑に応じなかったため、どうやって水原氏は口座にアクセスしたのか、なぜ大谷選手は450万ドル(約6億7000万円)もの金額が盗まれたことに気が付かなかったのか、などの疑問が残った。ロサンゼルス・タイムズのスポーツコラムニストであるビル・プラシュケ氏は「まだ腑に落ちない。いまだに意味を成さない。大谷翔平と彼の助言者らがいかに片付けようとしても、この賭博ゴミ溜めはまだ臭う。(中略)多くのファンが自分と同じ気持ちだろう」と書いている。

大谷選手は3月25日の会見で「今シーズンも本格的にスタートするのでここからは弁護士の方にお任せしますし、僕自身も警察当局の捜査に全面的に協力したい」と語っている。

 ドジャースは大谷選手を守るために球団担当の弁護士からなる「危機管理タスクフォース」を編成して対応にあたってきた。北米プロスポーツ界最高額を払って獲得した大谷選手が、シーズン開幕とともに出場停止(あるいは永久追放)されたのでは目も当てられないからだろう

 MLB(メジャー・リーグ・ベースボール)に所属するチームの選手、監督、コーチ、職員(トレーナーや通訳など)は、当然のことながらMLBの規約に縛られる。MLBは規約の第21条(通称「ルール21」とよばれている)で、賭博に関与した選手や審判員、球団・リーグ関係者に科す罰則を明確に定めており、そこには「違法な胴元、または違法な胴元の代理人を相手に賭
けをおこなった者は、その行為の事実や状況と照らして、コミッショナーが適切と考える罰則を受けるものとする」とある。MLBは3月22日の公式声明で「MLBは大谷選手と水原氏に関する疑惑に関して、本日、捜査局(DOI)が正式に調査を開始した」と述べている。

3月31日にドジャースタジアムでおこなわれた「ドジャース対カージナルス戦」は、ドジャースが0-4から逆転し、勝利をおさめた。始球式は俳優の真田広之がつとめたこの試合では、大谷選手は二塁打をはなち、チームの勝利に貢献した。

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