5月東京目黒区の自宅で両親と共に倒れていたのを発見された市川猿之助(本名 喜熨斗孝彦47歳)が、死亡した両親のうち、母親に対する自殺ほう助容疑で逮捕された。警視庁は猿之助容疑者と両親が多量の睡眠薬を飲むなどして心中を図ったとみている。
警察発表によると、5月17日午後5時頃から18日午前10時頃の間に、同居していた母親の延子さん(75)に大量の睡眠薬を渡して飲ませ自殺を手助けした疑いに対して、猿之助容疑者は容疑を認め、両親の後を追って自殺するつもりだったと供述したとしている。延子さんの遺体からは猿之助容疑者が病院から処方されていた2種類の睡眠薬と同じ成分が検出されている。警視庁は父親の段四郎さんも同じ睡眠薬を飲んだとみて調べている。
両親と一緒に3人で自殺しなくてはならない原因として、逮捕前の任意の調べに猿之助容疑者は「自身の性的内容を含むハラスメント疑惑を報じた週刊誌『女性セブン』報道をきっかけに、17日に家族会議を開き、家族3人で心中を図った。」と説明していた。その後「処方された睡眠薬をすり潰し両親が水に混ぜて飲んだ。」と供述している。
この事件全く納得が出来ない。週刊誌のスキャンダル報道が出たとしても、そんな記事無視すればよいのに。そもそも家族会議なんかやる必要ない。猿之助容疑者が勝手にやったこと、年老いた両親に自分の心配事を相談してどうするのか。情けなさ過ぎる。まして父親の段四郎さんは病の身、判断力も落ちていたのでは。本来なら、ここまで人間として歌舞伎役者として育ててくれた両親に心配を掛けないように隠すのが当然の振る舞いでは。それを一人で死ぬならまだしも、身勝手なスキャンダルで両親を巻き添えにするなんて。
推測だが、家族会議の話題に…伯父で3代目猿之助だった市川猿翁さんが病に倒れた後の2012年、「沢潟屋」猿之助家を代表する名称「市川猿之助」を4代目として継承したにもかかわらず、その名を汚してしまった、先代にも、歌舞伎界に申し訳ない、ここは死んでお詫びしかない…と勝手な論理を並び立てて両親を死に追い込むことになったのではないか。つい数日前まで、猿之助の活躍こそが老後の楽しみと誇りだと思っていたはずの両親が、突然の「死の家族会議」に冷静な対応、判断が出来るはずがない。そういう意味でも猿之助の罪は余りにも重い。
事件はここで終わらない。段四郎さんの死に猿之助容疑者がどう関与していたのか。本当の取り調べはここからなのでは。自殺ほう助より重い刑罰も十分予想される。
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。