名称変更のイメージアップは面白い

先日母校の慶應義塾大学SFCで講義をして来た。授業のテーマは「令和の価値観」。以前このコラムでも話したように「紙おむつの名称は古臭いので〝ペーパーブリーフ〟に変更したらどうか」と各所で提案したところ反響が凄く、それがきっかけで大阪万博での「ペーパーブリーフ・トークショー」に招待され、ホールは超満席となった。

学生の前でその話をしたところ女子学生から質問が。「父が難聴で、私としては補聴器をつけて欲しいのですが、カッコ悪いと聞き入れてくれません。ペーパーブリーフみたいなお洒落なネーミングを付けてください」いきなりの提案に戸惑ったが、その夜こんな返信を送った。「補聴器の代わりに〝トーキング・パートナー〟、〝トーキング・フレンド〟はどうだろう」と。早速お父さんに報告してくれるはず。こういったイメージって大切。

企業でもイメージ一新の社名変更は昔から多い。昭和の時代〝ヤクルトおばさん〟と呼んでいる時期があったが、おばさんはどうなのと実際に販売している女性の要望から〝ヤクルトレディ〟に変更。各大手企業も大変身している。山梨シルクセンターが〝サンリオ〟に社名変更。1974年に誕生したハローキティは今や世界中の子供たちとお友達に。

東京通信工業が〝ソニー(SONY)〟となり、音響メーカーから映画会社まで所有する大会社に。松尾糧食工業が〝カルビー〟、松下電器産業は〝パナソニック〟、早川金属工業研究所から〝シャープ”、朝日無線電器商会から〝ケンウッド〟、日本警備保障株式会社から〝セコム〟。極めつけは創立当時会社名が泥棒市場だった〝ドン・キホーテ〟!当初入社して来た社員が「泥棒市場に入社したと親に言えない」と直訴され変更した経緯が。

その他にもこんなユニークな名称変更も。東京の大動脈となっている地下鉄大江戸線も当初は〝ゆめもぐら〟だった。私はこの名前も嫌いではないが。缶煎茶が〝お~いお茶〟に。確かに〝お~いお茶〟のほうが響きもいいし飲みたくなる。大人から子供まで〝チョロQ〟の名称で大人気だが、当初は豆ダッシュだった。

名前変更でイメージ一新。そう言えば私も伊藤輝夫から〝テリー伊藤〟に名前変更していました。そうなんです、自分自身の気分も変わったし、周りも呼びやすい。特に海外の方は気楽に〝テリー〟と呼び捨てにしてくれる。親しくなる時間も早い。そんな話をTBSラジオ『テリー伊藤 昭和モーレツ天国』のゲストに来てくれたアグネス・チャンに話したら「今日から私もテリーと呼ぶ」と言ってくれた。

収録後、スタジオを出て行くアグネスが振り返りながら弾む声で「じゃ、テリーまたね!」何だかとても嬉しくなった。

 

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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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