油田・ガス田の新規掘削を禁じ、段階的な閉鎖を決定 LA市議会が環境政策(12/2)

【ロサンゼルス2日】ロサンゼルス市議会は2日、油田・ガス田の新規掘削を禁じ、既存の油田・ガス田を今後20年間で段階的に閉鎖する条例を全会一致で可決した。

 ロサンゼルスはかつて石油の町として栄えたが、現在は多くの油田が枯渇している。市民からは、油田から漂う汚染物質の健康被害についての苦情が10年以上前から寄せられており、市議会の決議につながった。

 また、ロサンゼルス市での掘削を禁じる動きは、ロサンゼルス郡による同様の取り組みの一部で、2021年にはカルバーシティと郡内の非法人地域を対象とした同様の措置が可決されている。

 これに対し、カリフォルニア州拠点の大気質と環境の審査会社「Yorke Engineering」のエンジニア2人はこの条例に反対を表明。油田の段階的閉鎖により石油・ガス事業者が油田を放棄するため、大気汚染と温室効果ガスの排出増加につながると述べた。

 この反対意見について、ロサンゼルス市のマイク・フューアー法務官は「信ぴょう性に欠ける」とし、市のために条例の環境分析を行ったカリフォルニア州の別の会社「Impact Sciences」のレビューを引き合いに出した。

 南カリフォルニア大学の研究者たちは2021年の調査で、ロサンゼルスの2つの地域、ユニバーシティパークとジェファーソンパークの油田の近くに住む人々が、遠くに住む人々に比べて、喘鳴、目や鼻の炎症、喉の痛み、めまいを訴える割合が著しく高いことを報告した。米国国勢調査によると、これらの地域はいずれも白人以外が多く住み、黒人やラテン系のコミュニティーが多い。

 石油業界のリーダーからは同条例に反対する声が相次いでおり、油田・ガス田の閉鎖は市の財政を悪化させ、外国産の石油への依存が高まると市当局に警告している。

 ロサンゼルス市の都市計画課によると、市内には26の油田・ガス田があり、5,000以上の採油・採ガス井がある。採油・採ガス井の多くはウィルミントンとハーバー地域に集中するが、ダウンタウン、ウェストLA、サウスLA、サンファナンドバレーにも稼働中の井戸がある。

ホームへ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。