【ロサンゼルス18日】 『ニューヨーク・タイムズ紙 』が18日、労働運動家や公民権活動家として名声を成したセザール・チャベス氏(1927年〜1993年)に対する少女らへの性的虐待疑惑についての調査記事を報じ、カリフォルニア州内外の政治家や住民らに衝撃が広がっている。
『ニューヨーク・タイムズ紙』が報じた調査記事では、チャベス氏が女性や少女に対して強姦や虐待を行ったとする疑惑が詳述されており、記事には、1970年代に子供だった当時、この著名な公民権運動指導者から性的虐待を受けたと主張する2人の女性の証言も含まれている。チャベス氏と共に労働組合を共同設立し、後に全米農場労働者組合(UFW)と合併したドロレス・ウエルタ氏(95)も、1960年代にチャベス氏から暴行を受けたと主張している。
ウエルタ氏は声明で、「私はもうすぐ96歳になるが、過去60年間、この秘密を抱え続けてきた。真実を明かすことが、私が生涯をかけて闘ってきた農場労働者運動を傷つけると信じていたからだ」と証言。「セザール・チャベスによる性的不正行為に関するニューヨーク・タイムズ紙の数年におよぶ調査を受けて、私はもはや沈黙を守ることができず、自身の経験を語らなければならなくなった」と述べている。
同紙によると、この報道に携わった記者たちは、チャベス氏の親族や側近を含む60人以上への取材を行ったほか、申し立てを裏付ける電子メール、組合の記録、写真などを精査した。調査対象となった人々の中には、チャベス氏に対する申し立てを否定する者もいた。
この疑惑の余波は、政治家や地域の指導者たちの間で即座に広がった。ロサンゼルス市のカレン・バス市長は、女性たちが耐えてきたとされる虐待について、「これは孤立した事例ではなく、過去のものでもない」と述べ、「私はドロレス・ウエルタ、アナ・ムルギア、デブラ・ロハスのことを心に留め、彼女たちの強さ、そして権力者たちによって恐ろしい被害を受けたすべての女性や少女たちの強さをたたえたい」と語った。
さらにバス市長は、チャベス氏に対する虐待疑惑が、自らの権利やラテン系の人々の平等、そしてすべての人にとって強固な国家を求めて闘う農業労働者たちの活動を損なうものではないと続けた。
ロサンゼルス郡のジャニス・ハーン参事は虐待の疑惑について「ぞっとした。このニュースを聞き胸が張り裂ける思い」と語り、公の場で自らの体験を語った被害女性らの勇気をたたえた。
ハーン参事は、カリフォルニア州、アリゾナ州、ワシントン州、ユタ州で3月31日の公式祝日として祝われている「セサール・チャベス・デー」の名称を変更する必要性にも言及。ロサンゼルス郡では、3月の公休日を『農業労働者の日』に変更するべきだと述べた。
チャベス氏は、メキシコ系アメリカ人の著名な公民権運動の指導者また活動家で、農場労働者の賃金と労働条件の改善を求めて、ボイコット、断食、非暴力ストライキなどを通じて闘った。1994年、ビル・クリントン元大統領から死後、大統領自由勲章を授与された。2021年には、ジョー・バイデン元大統領が就任した際、大統領執務室にチャベス氏のブロンズ製の胸像が設置された。
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