
筆者/ヒロ山田
クリーンエネルギーと省エネ製品の専門家。環境に配慮した製品による光熱費削減を顧客に提案。米国大手アプライアンスメーカーおよび代理店で給湯器、冷暖房機、ソーラーシステムなど高効率製品の市場開拓を担当。現在は独立し、製品の取付け・交換のメリット説明から各種リベート申請サポートまで一貫して提供している。
73sense(73センス)社、代表。 連絡先: 800-730-4655 / info@73sense.com
給湯器-Heat Pump (1) 新機種に買替え、コストを大幅削減
カリフォルニア州の「エレクトリフィケーション(電化)」政策とその影響
カリフォルニア州は、クリーンエネルギーと環境保護の取り組みに全米一先進的で、その中でも特に「エレクトリフィケーション(電化)」は重要な位置を占めています。この電化の推進は、ガソリンや天然ガスをエネルギー源とする従来のシステムから、電気を主なエネルギー源に転換することを意味しています。これにより、温室効果ガスの削減やエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの活用促進が図られていきます。
現在州が推進している主な電化政策は以下の通りです:
▶︎ゼロエミッション車両(ZEV)の普及促進
▶︎住宅の電化(冷暖房や給湯器、充電設備等)
▶︎バッテリー・バックアップとスマートグリッドの導入
▶︎商業施設の電化
これらの取り組みの最終的な目標は、「カーボンニュートラル」(実質的な二酸化炭素排出量ゼロ)を達成し、2035年にはゼロエミッションの電力供給を実現することです。
では州が進めるこれら政策によって我々住民の生活にどんな影響があるのか、それぞれにスポットをあて解説していきます。
今週は、今使っている給湯器を新しいタイプに変えたとき、ホームオーナーが得られるメリットについてご紹介します。

■ 第二回:給湯器-Heat Pump (1) 新機種に買替え、コストを大幅削減
1.カリフォルニア州での給湯器の進化
カリフォルニアでは、依然として「タンク式(貯湯型)」の給湯器が広く使われていますが、エネルギー効率が低く、CO₂の排出も多いため、より環境に優しい「ヒートポンプ式」への切り替えが進んでいます。
加州の給湯器市場は2010年代から、住宅建築・販売会社が従来のタンク式から「タンクレス(瞬間式)」へ切り替えを進め、2020年代に入ると、さらに環境性能が高いヒートポンプ式への移行が本格化しています。この流れは、カリフォルニア州が掲げる「クリーンエネルギー政策」と「住宅の電化推進」に基づいており、今後さらに広がっていくことが予想されます。
2.ヒートポンプ式給湯器とは?
ヒートポンプ式給湯器は、コンデンサーを使って空気中の熱を取り込み、冷媒を利用し圧縮してお湯を作る仕組みです。イメージとしては、冷蔵庫の逆の働きをするシステムです。
エネルギー効率が高い:従来のタンク式の約4倍の効率を誇り、現在の給湯器の中では最も高いエネルギー効率を持っています。
環境に優しい:屋内温度が華氏35°F〜110°Fの範囲内であれば、省エネモードで動くので(内臓されたバックアップ用の電気パネルが作動しない)、温暖な気候のカリフォルニア州に適しています。
冷房効果もある:ヒートポンプ式は、熱を取り出した後の排気が冷たいので、ガレージ等設置されたスペースは、温度が10°Fほど下がり、自然な冷房効果があります。
3.現在のヒートポンプ式給湯器の選択肢
ヒートポンプ式には、一体型とスプリット型の2種類がありますが、家庭用では一体型(タンクとコンデンサーが一体)が主流です。これには、電力が240Vと120Vの2モデルがあります。現在住まれている家に既に240Vの電力が引かれている場合、240Vモデルを選ぶと、湯量が多く、リカバリー(温度回復)が早いので便利です。120Vの場合は現在の給湯器よりひとつ大きいサイズ(容量)を選ぶとよいでしょう。
4.州・連邦政府のサポート
ヒートポンプ式は、エネルギー効率の向上と大気汚染の削減に大いに貢献するため、州やユーティリティ会社が補助金プログラムを提供しています。さらに、連邦政府による税額控除もあり、これらを利用することで導入コストを大幅に抑えることができます。
次回は、これらの補助金や税額控除の詳細について解説します。
(10/3/2025)





