「クラトム」の過剰摂取で複数の死亡例、LA郡が注意勧告(9/15)

【ロサンゼルス12日】米国で痛み止めや薬物中毒の治療などに使われてきた薬用植物「クラトム」の合成物を過剰摂取したことが原因で複数の死亡事故が報告されているとして、ロサンゼルス郡ヘルス局が12日に一般に注意勧告を出した。

 ロサンゼルス郡公衆衛生局の声明によると、7-ヒドロキシミトラギニン(7-OH)として知られるこの化合物は、最近、郡内の18歳から40歳の住民3人における致死的な過剰摂取事例に関連しているという。

 各事例においてアルコールも検出されたこと、また死亡者はそれ以外には健康状態に問題がなかったことが報告されている。ロサンゼルス郡検視局はさらに、死亡に関与した他の物質は特定されなかったとしている。

 公衆衛生局の発表によれば、クラトムおよび7-OH製品は規制対象外であり、痛み・不安・抑うつ症の治療薬として販売されている。

 当局によると、7-OHはクラトム葉の精神活性成分であり、ロサンゼルス郡全域のガソリンスタンド、喫煙具店、その他の小売店やオンライン販売店で販売されている様々な製品に合成濃縮されている。これらの製品は、痛み、不安、気分障害、オピオイド離脱症状などの問題に対処する栄養補助食品として宣伝されることがあり、錠剤、グミ、ドリンクミックス、濃縮液や飲用ショットなど多様な形態で流通している。製品には通常「植物性アルカロイド」や「アルカロイド」といった表示がされている。

 当局によれば、低用量では7-OHは興奮剤のような作用を示す。高用量ではオピオイド様作用を引き起こす可能性がある。

 FDAは今年7月、濃縮7-OH製品の違法販売に関与した複数企業に対し警告書を送付した。当時、当局は「7-OHは栄養補助食品において合法ではなく、通常の食品に合法的に添加することはできない」と記載された製品画像を共有した。

 クラトムは、タイとその周辺国に分布するコーヒー科の樹木で、東南アジアでは伝統的に、その葉を噛んだりお茶にして飲むことで疲労回復などに利用されてきた。また、痛み止めや下痢などの症状の治療にも使われ、アヘンの代用品として利用されることもあった。

 中毒性への懸念から規制する動きが起きており、日本では、医薬品医療機器等法に基づき、個人輸入や販売が規制されている。

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