こんにちは!私は現在、ロサンゼルスのトーランスエリアとオンラインで子供向けの日本語と英語の語学スクールTLC for Kids LA校を運営しています。広島大学の学校教育学部を卒業後、小学校教諭として公立学校の教育現場に勤めていたり、教育委員会の施設で不登校児童のメンタルケアや学習サポートを行ったりしていた経験もあります。現在アメリカでは1歳半~15歳の生徒さんや保護者の方と日々接しながら、のべ10年以上にわたる教育現場経験や2000人以上のお子さんと関わってきております。このコラムではご家庭でのバイリンガル育児のヒントや英語/日本語教育についてお届けしていきます。アメリカで子育てしている方々が、日々の子育てにおいて「これならできそう、ちょっとやってみよう」というアクションにつながればいいなと願っています。
VOL.13 “海外在住”子供が日本語を定着させる最適期
海外で育つ子どもたちにとって、バランスの取れた日本語と英語の習得は、幼少期の教育がカギとなります。日本国内で生活すれば、学校教育を通じて自然に日本語能力が養われますが、アメリカなどの国々では、幼稚園から高校に至るまで教育はすべて英語で行われます。このため、日本語の教育は家庭の役割が極めて重要になります。
“いつかそのうち”と日本語教育を先伸ばしにしていると、最悪の場合、読み書きを身につける機会を失ってしまいます。地元の小学校に進学すると、英語力の向上を迫られます。先生の仕事は生徒の学習をサポート(もちろん英語で)することであり、バイリンガルだから英語ができなくても大目に見るというわけにはいきません。
言語習得の適齢期は10歳まで
言語習得の理想的な時期は10歳までとされています。よく「日本人は英語が苦手」と言われますが、その理由の一つに習得開始のタイミングの遅れがあります。赤ちゃんの頃は言語習得能力が非常に高く、この能力は年齢と共に減退し、10歳前後でその窓が閉じます。この重要な時期を逃すと、学習に必要な高度な認知や表現の英語力を獲得するのが難しくなります。
アメリカでの日本語教育も同様に、10歳までが適切な学習期間です。それ以降では、日本語の習得は子どもの学習意欲に大きく依存するようになります。現地の学校で英語に日々挑戦している子どもにとっては、必要な英語力を伸ばすことが優先され、使わない日本語は後回しになりがちです。
幼児期は言語習得の絶好のチャンスです。この時期の子どもたちは遊び感覚で言葉を身につけます。母親との読み聞かせだけで、自然と読み書きが身につくことも珍しくありません。ですから、この貴重な時期を活用しない手はありません。
日本語の土台が英語の学力を支える
家庭での日本語教育を受けた子どもは、アメリカの学校で要求される英語力もスムーズに獲得します。彼らは日本語で読み書きの経験があるため、言語習得のコツを掴んでおり、英語の複雑な読み書きも容易にこなせます。また、幼い頃からの読み聞かせが多いほど、学校で集中して勉強できる子に成長します。
親が日本人であれば、子どもが自学で学べる力を身につけることが重要です。読み聞かせによって育まれる語彙力や読解力などの言語能力は、学校の学習にも良い影響を与えます。日本語で身につけた言語運用能力は英語でもそのまま応用できるため、現地校の学習にもすぐに適応できます。
小学校までに日本語教育を始めよう!
小学校に上がる前に日本語教育を始めることが、バイリンガルの子どもたちにとっては必須です。英語の学習環境が整う前に、十分な日本語力を身につけることが、後の学校生活での成功につながります。現地校での学習が始まったら、英語に集中できる環境を整えてあげましょう。「勉強ができる」という自信を持つことが、彼らの学習モチベーションを向上させ、アメリカでの学校生活を楽しく送ることに繋がります。反対に、英語力不足による自信の喪失は、消極的な学習姿勢を招き、学習モチベーションの低下に陥りがちです。小学校入学前に日本語教育を開始し、土台を整えておきましょう。