カニエ・ウェストが安藤忠雄建築を売却へ 購入時から約5億円の下落

【ロサンゼルス22日】ラッパーのカニエ・ウェストが、カリフォルニア州マリブにある安藤忠雄設計の邸宅を5300万ドル(約75億5000万円)で売りに出している。12月19日、ウォール・ストリートジャーナルが報じている。

 ファッションやアートへの造詣の深さで知られるカニエだが、とくに学生の頃から建築雑誌『Architectural Digest』を愛読してきたといい、なかでも安藤忠雄の作品には多大なるリスペクトを持っているという。2018年にカニエは日本の直島にある安藤忠雄設計の地中美術館を訪れ、地元メディアに「俺は音楽を作るために、安藤忠雄は建築するために地球上に存在する」と語っている。そういう経緯もあったのだろう、2021年9月にマリブビーチに建つ安藤建築を5725万ドル(約81億6000万円)で手に入れた。

 この不動産を扱うオッペンハイム・グループのエージェントであるジェイソン・オッペンハイムによると、この邸宅はウォール街の重鎮リチャード・サックスが2013年から7年の歳月を通やして完成させたもの。安藤忠雄のトレードマークである滑らかなコンクリートで造られた建物には約1200トンのコンクリートが使われており、3階建ての家には4つの寝室があり、海に面した巨大な窓がある。

 カニエは購入後、全面的な改修工事に着手したが、改修をめぐって業者とトラブルになり、現在、窓や配線、ドアなど内装がすべて取り外された状態で止まっているという。オッペンハイムは「現在の状態ではこの家は白紙のキャンバスです。ですが、この家の建築的な完全性と建築的価値は残っています」と話している。カニエが売却を考えている理由については語られなかった。

 アメリカの不動産業者Redfinによると、2023年11月のマリブの住宅販売価格の中央値は350万ドル(約5億円)で、2022年11月と比較すると21.3%下落している。カニエが売却を試みるこの邸宅は果たして誰の手に渡るのだろうか。

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