【ロサンゼルス11日】ロサンゼルス郡で報告されたヘイトクライムの件数が昨年、前年度比で530件から635件へ、20%増えたことが、同郡人間関係委員会の10日の発表で分かった。
ヘイトクライムの報告件数のうち、最も増加したのが人種を理由にした犯罪で、53%も急増し、これは、2003年以来の最大増加率となった。
中でも、アジア系に対するヘイトクライムが2020年、前年度比で76%の大幅増加となった。新型コロナウイルス関連の差別が要因で、パンデミック中には身体的また言葉によるアジア系への攻撃が数多く報告された。
レポートによると、白人至上主義者のイデオロギーが明確な証拠となった凶悪犯罪は昨年19%で、2019年の22%は下回った。
レポートではまた、ヘイトクライムのターゲットは、黒人が42%を占め最も多いことが判明。黒人は郡内人口のわずか9%であるにも関わらず、ヘイトクライムのターゲットになる確立が高いことが示された。
また、性的指向を理由にしたヘイトクライムも17%と増加傾向で、そのうちの84%はゲイの男性がターゲットになった。
レポートではまた、ラテン系に対するヘイトクライム件数も、2019年の67件から2020年には106件へと58%増加。反移民を示す中傷が56件あり、前年度比で14%増加。これらの中傷の77%が、ラテン系の人々に対するものだった。
レポートでは、郡内のヘイトクライムが、凶暴化している傾向も指摘。凶暴なヘイトクライム件数は2019年の65%から2020年には68%に増加し、これは2003年以降で最も高い。
一方で、1990年代と2000年代の後半に比べると、2020年のヘイトクライム報告件数はまだまだ少ないのが現状。また、宗教を理由にした犯罪は18%に減少し、その主なものは反ユダヤ主義を示す犯罪だった。