【ロサンゼルスで暮らす人々】演じる喜びは最高の感覚  こんなにおもしろい仕事はない

LA暮らし

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小山田 匠
Sho Oyamada


俳優

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「演じることに子供の頃から興味がありました。米国は役を獲得するうえでオーディションがあるので常に公平性がありますし、監督と話して役を作り込んでいくので役の背景を知れるんですね。僕はこのシステムが合っているので、今後もLAを拠点に俳優として活躍の場をさらに広げていこうと思っています」米テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞で史上最多の18冠を獲得した『SHOGUN 将軍』。このなかで英国人航海士に城下を案内する侍・義房を演じた俳優 小山田匠さんは2017年に活動の拠点を日本からLAに移してキャリアを積んできた。彼はどんな半生を経て今に至るのだろう。話を伺ってきた。

 栃木県出身。金融業界で働く父と専業主婦の母のもとに生まれた。幼い頃から演じる側に興味を抱き、いつかは自分もその世界にと思ってきた。勉強は好きではなかったが、母の「人としての幅が広がるだろうから将来何をやるにしても大学は行った方がいいんじゃない?」という言葉にいやいや大学進学を目指したが、受験の神様は微笑まず2浪となってしまった。「本音を言えば勉強が楽しくなかったんですよね。唯一まあまあやったのは英語」と語った小山田さんが考えたのが米国留学。自分の学んできた英語を生かして「日本人がいない場所に行って学ぼう」とコロラド州の大学に進学した。両親の出した二つの条件は「卒業することと良い成績を取ること」。これを胸に誓い、徹底的にコンピューターサイエンスとシステム経営学を勉強し、両親も納得する優秀な成績を修めた。そのまま米国に残ることも考えたが「毎日ファイティングポーズで頑張り続ける米国はしんどい」ことから日本に帰国し、コンサルティング会社に就職。その後金融の世界へのキャリアチェンジを目指し、会社員の座を捨てて英国のヘンリービジネススクールに入学。いつも思い切りがいい。

 修士修了後は証券会社で債券トレーダーでキャリアをスタート。最終的にはマネージングディレクターまで上り詰めた。しかし35才のとき立ち止まる。「お金も地位もあるが、人生1回しかない中でこんな風に働き続けていいのだろうか」とサウナ中にふと疑問を持った。その時新聞の片隅にあった俳優募集の広告に目が止まる。自分が目指していたものはこれだったのではないか。忘れていた何かを取り戻すように、早速、芸能事務所のオーディションを受け、合格後、芸能事務所に所属した。2015年には『天空の蜂』、2016年には『シン・ゴジラ』に出演し、LAに来た2年後の2019年、日本、米国、台湾の3ヶ国合同の短編映画『Last Choice』に単独主演を果たした。「全ては運だとも思います。でもやらないよりやった方が可能性が広がる。日米両方で活躍する俳優を目指して、今後も挑戦を続けます」

■日本・米国・台湾の合同短編映画『Last Choice 』では単独主演を務めた
■エミー賞で史上最多の18冠を獲得した『SHOGUN 将軍』で侍・義房を演じた

(10/29/2025)

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