1年ぶりに動き出した学校

コロナ禍、続々と再開される対面授業
対面授業/オンライン授業/ハイブリッド授業
1年ぶりに動き出した学校

 

人口密度の高いカリフォルニア州には1037の公立学校区があり、生徒数は610万人以上で、教職員総数は319000人。新型コロナウイルスの影響を受けて、ほとんどの公立学校は昨年3月以降、対面授業を中断していましたが、徐々に再開し始めています。

 

キンダーから12年生の各学校の再開については、カリフォルニア州政府による学校再開方針および各郡が定める学校再開ガイドライン等を踏まえ、最終的には学校区ごとに再開方式(対面、フルタイム遠隔授業、もしくはハイブリッド方式等)が判断されることになっています。州当局が学校側に対面授業再開を命じることはできないため、再開は不均一な状況となっています。

 

▼カリフォルニア州のニューサム知事は、「Safe Schools For All Plan」と呼ばれる加州の学校の段階的な再開戦略を公表しています。学校が再開される郡は、新型コロナウイルスの感染レベルが10万人あたり28人以下に抑えられている必要があります。小学校(TK-6)に関しては、各学校が州や郡に安全計画を提出し、提出後5日間で拒否されなければ、学校再開は許可されるという仕組みとなっています。

 

Safe Schools for All Plan

https://www.cdph.ca.gov/Programs/CID/DCDC/Pages/COVID-19/Safe-Schools-for-All-Plan-Summary.aspx

 

▼何人の生徒が学校に戻る選択肢をもっているのか?

California Department of Educationによると、4月4日現在、カリフォルニア州で28%の生徒が学校に戻る選択肢を持っています。これは、610万人の公立学校およびチャータースクールの生徒のうち、約170万人にあたります。

▼カリフォルニア州で、対面授業、ハイブリッド、オンラインの割合はどうなっているか?

ロックダウン以降、学校はオンライン授業のみに移行していました。現在は、一部の学校ではフルタイムの対面授業がおこなわれています。また一部の学校では、対面授業とオンラインのハイブリッド方式を取り入れています。

 

4月4日のロサンゼルスタイムズによると、ロサンゼルス郡の最大学校区であるLAUSDは4月12日より段階的に再開されると報じています。

 

▼各学校区の学校再開状況や学校における感染予防の取り組みなどの最新情報は、以下のカリフォルニア州政府の特設ページにて発信されています。

 

State of California Safe Schools For All Hub(カリフォルニア州学校再開関連特設ページ)    https://schools.covid19.ca.gov/

 

▼対面授業を開始した学校区を例にとって見ていきましょう。

グレンデール学校区はTKから2年生までの対面授業を3月29日から再開させました。3年生から6年生については、4月5日からの再開です。郡のヘルスオーダーに従って各クラスの最大収容人数は14人以下と定められています。月曜と火曜に登校する生徒をtrack A、木曜と金曜に登校する生徒をtrack Bとし、学校に戻る選択肢を希望した生徒は、track Aかtrack Bのどちらかに振り分けられます(兄弟で同じグループになるよう配慮があります)。またフルリモートの希望者は週5日オンライン授業のコースを取ることも可能です。なお水曜日は全員オンライン授業となっています。

<登校の様子>

早朝、グレンデール教育委員会からショートメッセージが保護者のスマホに届きます。健康チェックをするよう、URLが示されています。

URLをクリックすると健康チェック画面に飛びます。保護者は子供の健康状態をチェックし、「喉に違和感があるか、熱はないか、咳はないか、 筋肉痛はないか、倦怠感はないか」などの質問項目にひとつずつ答えます。回答を終えると、QRコードが送られてきますので、保護者はそれを保管します。

登校。健康チェックがあるため、通常よりもはやく学校に着く必要があります。保護者も子供もマスク着用、ソーシャルディスタンスを保つことが必須となっています。車の中から子供を送り出す場合も保護者は必ずマスクをつけていなければなりません。保護者は先ほどのQRコードを学校スタッフに示し、スタッフはそれを機械で読み取ります。

子供はエントランスで もう一度検温機器によって熱がないか計測されます。そのあと初めて校舎の中に入ることが許されます。

 

<小学校2年生の女児の話>

「私は月曜と火曜は学校に行き、残りの3日は家からズームで授業を受けています。私の通うAグループは6人です。Bグループは5人くらいです。なので、クラスの半分は完全なオンライン授業を希望しています。教室は、生徒一人ひとりの机が離れていて、透明のアクリルボードがあって、仕切られています。先生は同時にオンラインの生徒にも授業をおこなうため、とても忙しそうです。教室ではずっとヘッドフォンをつけています。そうしないと、ズームの向こう側にいるお友達と授業中に会話することができないからです。家で受けるときは、ヘッドフォンをしないで授業を受けていたので、学校ではヘッドフォンの付けっぱなしで耳が痛くなります。今までは家からスナックを持って行ってましたが、今は学校がスナックやお昼を小さな容器に入れて配ってくれます。シェアしてコロナがうつらないようにしているんじゃないの?とお母さんが話していました。食べられないものがある人は、家からスナックを持って行くことも許されています」

 

<授業を受け持つ先生の話>

「学校によっては、オンラインとズームのクラスを完全に分けて、先生が対応しているところもあるのですが、私の場合は、対面の生徒とオンラインの生徒を同時に教えなければならないので大変ですね。どちらの生徒も置いてけぼりにしないように配慮しながらやっていますが、まだ十分とはいえません。また週5日オンライン授業だったときは、家から教えていましたので、マスクをする必要はありませんでした。しかし今は、水曜日のオンライン時以外は、常にマスクを着用しなければなりません。これは顔で伝えるべき情報の半分が生徒に伝わらないということになります。表情で伝えることができないのは残念ですね。対面授業時も、自分の席から動くことはできないので(オンライン生徒も同時に教えているためパソコンの前から動けない)、せっかく学校に通ってきている生徒とも今までのような交流はできません。まだまだ試行錯誤しています」

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