LAダウンタウンでICEの移民取締に反対する大規模デモ 39人逮捕、トランプ政権が州兵派遣(6/9)

【ロサンゼルス8日】ロサンゼルス・ダウンタウンの市庁舎や連邦ビル前で6日から週末にかけて、ICE(移民関税執行局)に対する大規模な抗議デモが行われ、8日朝にはトランプ政権の指示で州兵部隊が派遣された。8日午後4時頃、デモ隊がフリーウェイ101号線に流れ込み通行止めとなり、路上では一部暴徒化したデモ参加者が複数の無人タクシーに火を付けたり、違法花火に着火するなどして一時緊張が高まった。警官によるデモ解散命令に従わなかったなどの理由で、7日と8日の二日間で39人が逮捕された。

 大規模デモが行われたのはリトル東京に隣接するエリア。6日にダウンタウン地区などでICEが不法移民の取り締まりを行い拘束者が出たのがデモのきっかけで、抗議デモは、ウェストレイク地区やパラマウントでも行われた。ICEによると、6日には一ヶ所の職場で44人、ロサンゼルス広域でさらに77人の不法移民が拘束された。

 ダウンタウンで8日午後、デモ参加者らが暴徒化するにつれ、警察がデモの解散命令を発令し、催涙ガスや殺傷性のない閃光弾などを使用して鎮静化を図った。オートバイと接触した警官2人が負傷し、ドライバーは拘束された。

 トランプ大統領は7日、2000人の州兵を派遣する大統領覚書に署名し、8日朝には約300人がロサンゼルスに到着。米軍北部司令部はまた、CBSニュースに対し、「トゥエンティナイン・パームス」を拠点とする500人の現役海兵隊員が “派遣準備”状態にあり、州兵の増援を命じられた場合には増援する用意があることを確認した。

 トランプ大統領は8日夜、SNSに「ニューサム知事とバス市長は、ひどい仕事をしたことをロサンゼルスの市民に謝罪すべきだ」などと投稿して2人を批判。「デモ参加者はトラブルメーカーで反逆者だ」と述べ、連邦政府の仲介で解決させると主張した。

 カリフォルニア州のニューサム知事とロサンゼルスのバス市長は、トランプ大統領による州兵の派遣は違法だと非難している。ニューサム知事は、これがデモを暴徒化させたと述べ、「適切な訓練も命令もないまま州兵を派遣するという決定は、事態を深刻にエスカレートさせる危険性がある」と批判した。ニューサム知事は「州兵派遣で意図的に緊張をあおった」と批判し、トランプ政権に書簡を送り州兵の派遣を撤回するよう要求。SNSでトランプ政権を訴える方針を明かした。

 ロサンゼルスのサウスベイを管轄するナネット・バラガン下院議員はCBSニュースに、ロサンゼルス郡では今後30日間、毎日のようにICEの取締りが行われる予定だと語った。

 

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