BS、CS放送のコマーシャルが面白い。ご存知のように高齢者向けの番組が多いので当然CMも視聴者層に合わせた内容になっている。普段CNNニュースを欠かさず見ている。トランプ大統領の朝令暮改のハチャメチャ政策も気になるが、CMも気になる。圧倒的に健康に関する広告が多い。
「膝が痛くて階段が上手に登れない」「最近夜中にトイレに行く回数が増えた。ベッドに戻ってもすぐに眠れない」「白髪が目立つようになって、いい白髪染めはないかしら」「髪の毛が薄くなって、このまま禿げてしまうのではと考えると将来が怖い」「髪の毛の劣等感でお得意様の前で堂々と話せない」「顔や手の甲にシミが目立つようになってきた、何とかならないの」など高齢者ならではの、男女問わずのお悩み広告。普段は素通りする広告も、毎日見せられるとボディーブローのように効いて、商品購入者が続々と増えるらしい。しかも地上波より電波料金が安いのでCMの時間が長い。地上波だと通常15秒~30秒、特別長くても1分なのに、CS放送だと5分位は当たり前。通販番組では一商品の紹介に20分かけることもざら。
健康CMの次はご当地お取り寄せ食品も人気となっている。CS放送のコマーシャルの特徴は、社長がしゃしゃり出てきて自社商品を自ら宣伝することだ。典型的な例として「夢グループ」の石田社長と所属女性歌手保科有里との軽妙なやり取り。今やお茶の間で知らない人はいないほどウケている。 広告代理店も、どうすれば高齢者の気をひくことが出来るか試行錯誤し、力を入れている。注目されているのが「色彩」で、高齢者が好感を持つ三大色は、赤色、オレンジ色、緑色らしい。赤は活力が出る、オレンジは華やかでワクワクする、緑は安心とリラックス効果があるそうだ。逆にあまり使わないのは黄色。どうやら高齢者には白色と区別がつきづらいそうだ。これからはスタジオの背景、文字などをチェックしながらCMを見るのも面白い。
BS、CS放送のメインターゲット高齢者層の最近の人気商品ベスト3は「お腹へこますベルト」「足裏温床機」「手元スピーカー」というデータがある。どうやらBS、CS放送高齢者層に揺るぎはなさそう。地上波のワイドショーでは「お米の値段が高騰して大変だ!」「政府は国民の生活をなんとかしろ!」「おかずを一品減らして頑張っている!」と大騒ぎしているが、こちらは別世界。朝から晩まで「商品を買ってくれ!」とお祭り騒ぎ。
これってどっちが本当か分からなくなってくる。このハチャメチャぶりが日本らしくて私は好きなのだ。それより、通販番組で紹介していた「豪華客船で巡る日本の旅」一度は乗ってみたい。でも船酔いするのかな。
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。