【ロサンゼルス21日】石油・ガス会社大手の「Phillips 66」(本社ヒューストン)がこのほど、数十万ガロンにおよぶ汚染廃水をロサンゼルス郡の下水道システムに投棄した疑いで連邦政府に摘発された。
連邦大陪審は今週、「Phillips 66」を、過失による水質浄化法違反2件と、故意による水質浄化法違反4件で起訴する計6件の起訴状を提出したと、カリフォルニア州中部地区連邦検事局が21日に発表した。連邦検察当局は、カーソンにある同社の石油処理工場から、合計79万ガロンの重汚染廃水がロサンゼルス郡の下水道に投棄されたと主張している。
「Phillips 66」は21日の声明で、「連邦検事局との協力を継続し、法廷でこの件に関する訴えを提出する用意がある。当社は引き続き安全操業に努め、従業員と操業地域の健康と安全を守る」と述べた。
「Phillips 66」は先月、カーソン工場とロサンゼルスのウィルミントン地区にある他の製油所を閉鎖すると発表した。
検察当局によると、「Phillips 66」は2023年に70億ドルの利益を計上した上場エネルギー大手。同社がすべての罪で有罪判決を受けた場合、各訴訟で最高240万ドルの罰金と最高5年の保護観察処分を受ける可能性がある。
連邦検察は、2020年11月24日の朝、約31万ガロンの油脂を含む工業廃水がロサンゼルスの下水道システムに放出されたと主張。この排水には、検察当局によると、同社の許可量の300倍を超える濃度の油脂が含まれていた。
翌月、ロサンゼルス郡衛生地区(LACSD)は、有害な量の油が投棄されたとして同社に複数の違反通知を出し、同社が流出について衛生当局に通知しなかったことを非難した。検察当局によると、「Phillips 66」のマネージャーは後にこの件を認め、このような流出事故が発生した場合の対処法や衛生地区への通知方法について「業務担当者を再教育する」とLACSDに伝えたという。
しかし、それから3ヵ月も経たないうちに、「Phillips 66」のカーソン製油所は、さらに48万ガロンもの高濃度の工業廃水を公共下水道に投棄したと連邦検察は主張している。検察によれば、この廃水には少なくとも33,700ポンドの油脂が含まれており、2021年2月8日の夜、5時間半かけて下水道に放出された。
その流出事故後、LACSDは「Phillips 66」に違反通知を出し、同社は再び衛生当局への通知を怠った、と検察当局は非難。連邦検察当局によると、「Phillips 66」のマネージャーは違反を認め、同社が衛生当局に通知しなかったことを再度認めた。